第132話 エンコ詰めますんで
「す、すみません! よく見れば人違いでした! それにマーラさ......じゃなくてこの街の人たちに迷惑をかけてしまったようで本当にすみません!」
リーダーっぽい男は土下座をして謝っていた。
「わ、分ってもらえれば......べ、別にいいです」
あ、またいつものマーラの口調に戻った。
「いえ! 何か......何かあっしらに償いをさせてもらえませんか?」
「つ、償いとか......そ、そんなのしてもらわなくてもいいです」
マーラが横を向いてリーダーっぽい男の提案を断ろうとする。
「おい! お前らもこっち来い!」
リーダーっぽい男は後ろに控えていた刺青の男たちを呼んだ。そしてリーダーっぽい男はナイフを取り出した。
「分かりました。せめてあっしら全員エンコ詰めますんでそれで勘弁してください!」
何も分ってないよこの人......
「マーラ、この人たちに何か罰を与えたらどうですか?」
メイド長、ナイス提案! やっぱりこういうとき頼りになるな。
「そ、それじゃあ......つ、杖を取りに行ってもらえませんか?」
「杖......ですか?」
マーラの提案にリーダーっぽい人が疑問形で確認した。
「こちらを......」
メイド長が世界の秘宝図鑑の本を開いてイセカイテンイのページを見せた。
「なるほどこの杖をあっしらが取りに行けばいいんですね。で、どちらにあるんですかい?」
「この国の王子であるアイギス殿下は知っていますね? 本日取りに行く約束になっています。紹介状を書きますのでそれを持っていけば問題ないでしょう」
メイド長がリーダーっぽい男に紹介状を書いて本と一緒に手渡した。
「分りやした......オイお前ら! 最重要任務だと言ってうちの組のやつら全員呼んでこい! 確実にこの人たちにお届けするぞ!」
「「うぃーす!」」
リーダーっぽい男が命令すると刺青の男たちは返事をして散り散りにどこかに去っていった。
この男たちが......しかも数を増やしてアイギス王子のところに行ったら......いや考えすぎかな。杖を取りに行くだけだし!
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