第127話 まるで別人じゃない?
背後からナイフが声をかけてきた男の横顔をかすめて男の後ろのあった木に突き刺さる。パラパラと男の切れた髪の毛がゆっくりと地面に落ちながら男は唖然としていた。そしてすかさずマーラが男の首元にナイフを突きつける。
「オィ、クソ男......てめぇ欲しいのは姫様とのわずかな会話の時間か? 命か?」
ナイフを突き付けられた男はもちろんのこと残りの2人の男も震え上がってしまった。
「い、命です!」
「だったら今すぐ消えろ!!」
「「ヒィ......お、お助けを!!」」
マーラがすごむと男たちは一目散に逃げて行った。
「メイド長......あれ誰?」
「姫様、先ほどから一緒におりましたマーラです」
うん。まあ分ってるけど、そう聞かずにはいられなかったよ。なぜならマーラはさっきまでのおどおどした感じは一切なく、強気で目だけで人が殺せそうなように見えたからだ。
「ひ、姫様......だ、大丈夫でしたか」
どうやらマーラは元に戻ったようだ。先ほどと同じく下を見ながらもじもじしている。
「うん。ありがとう、マーラ」
「ひ、姫様が! わ、私のようなゴミのような人間に! お、お礼を言ってくださるなんて!!」
マーラはそのまま地面にうつ伏せで倒れ込んだ。
......もういいよ、そのリアクションは。
「姫様、マーラはそのままにしてください。しばらくすれば後から着いて来るでしょう」
「分ったよ......」
僕はメイド長に返事をするとマーラを放置してメイド長の後を着いて行く。しばらく歩くと少し離れた位置からマーラがこっそりと後ろから歩いてくるのが見えた。
「着きましたよ。こちらのお屋敷の領主様に少しの間休ませてもらう約束をしております」
クリスさんの住んでるお屋敷くらいの大きさの家だ。領主はこれくらいの家に住んでいることが多いのだろうか?
メイド長がドアをコンコンと叩くと中から「はーい」という声が聞こえしばらくすると人が出てきた。
「ようこそ、あなたがアイネ様ですね。ボクはこの領地を任されているミランダです。それにしても美しい女性だ......思わずボクの心を奪われそうになってしまいましたよ」
その爽やかイケメンは僕に手を伸ばすと僕の顎をクイっと自分に引き寄せた。
イケメンにこんなことされたら気持ち悪く......ならない!? え!? まさか僕......気づかぬうちに男に耐性がついたのか!?
「スットーップ!! やめなさい! ミランダ!!」
中から人が出てきて僕とミランダの間に割り込んで引き離した。
「え!? シャーリーさん! なんでここに!?」
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