第125話 ヤバイ感じのメイド

「それでは......」

「帰りまぁすよ!」

 サーシャとエリナがそれぞれエリシアの右腕と左腕をがっしり掴み、嫌がるエリシアを外へ連れ出した。

 はたから見ているとエリシアさんなんだか少し可哀そうな人だな......

「姫様、私たちも参りましょう。朝食はサンドイッチを用意しましたので移動しながらお召し上がりください」

 メイド長は持っていたバスケットを持ち上げて僕に見せた。

「うん。分ったよ......ところで今日一緒に行くのはメイド長だけなの?」

 エリシアが外に連れ出されるのと同時に周りにいたメイドたちはそれぞれ持ち場に戻るように居なくなってしまったのだ。

「いえ.....あの子が一緒です」

 おや? なんだかメイド長が嫌そうな顔をしている。はっ......この態度からしてアスカが今日のお供と僕は予想するよ!

 そんなことを考えていると本当にアスカがやってきた。

「メイド長! お風呂場の掃除終わりました!」

「そうですか。次は庭の草むしりをしなさい。私は今日は姫様と外出の予定なので残りの作業はカタリナに聞きなさい」

「分りました!」

 アスカは敬礼をしてその場を立ち去って行った。

 ......どうやらアスカが今日のお供ではないらしい。じゃあいったい誰なんだろう?

 メイド長と一緒に外に出ると馬車が用意されていた。

「ひ、姫様......き、綺麗に掃除しておきました......ど、どうぞお乗りください」

 声のほうを見ると下を見ながらもじもじししているメイドが馬車のドアを開けてくれた。

「ありがとう」

 僕はお礼を言って馬車に乗った。

「ひ、姫様が! わ、私のようなゴミのような人間に! お、お声をかけてくださるなんて!!」

 ドアを開けてくれたメイドがその場にうずくまってしまった。

「マーラ、あなたも早く乗りなさい」

 ドアを開けてくれたメイドはどうやらマーラという名前らしい。

「メ、メイド長......い、居たんですか」

「あたりまえです。姫様が外出するなら私が付き添うに決まっているでしょう?」

 状況から判断して今日のお供はどうやらマーラということなんだろう。

 ......この時点でなかなかヤバイ感じがしているのは僕だけだろうか?

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