第124話 女たらしの疑惑

「ここは......僕の部屋か」

 朝日がまぶしいな......昨日は結局あのまま寝て朝になったようだ。服も着替えている。たぶんメイドの誰かが着換えさせたのだろう。

 部屋の外から口論しているような声が聞こえる。気になった僕は部屋の外に出てみることにした。

「姫様、おはようございます」

「あ、ああ......おはよう」

 部屋の外に立っていたメイドに挨拶をされたので僕も挨拶を返した。

「ところで何だか騒がしいようだけど何かあったの?」

「はい。姫様から説得していただけると助かるのですが......」

 説得? 誰を説得してほしいんだろうか?

 僕はメイドに案内されるまま声のする方に行ってみた。

「却下するわ! わたくしもついて行きます!」

 声のする部屋に入るとエリシアさんの声が響き渡るように聞こえた。

「失礼ですが、私どもはエリシア様をお家にお送りすることが目的で、いろいろな場所にお連れすることが目的ではありません」

「いいじゃない! 今日も一緒に連れてってよ!」

 メイド長の説得に対してエリシアさんがだだっ子みたいなことを言っていた。

「あの......エリシアさん。なんでそんなについて来たいのですか?」

 僕はフォローを入れるようにエリシアに尋ねてみた。

 もしかしたらついて来なければいけない重要な理由があるのかもしれないし......

「アイネちゃん、聞いてよ......メイドたちに今日の予定を聞いたらアイネちゃんアイギスとかいう女たらしの家に行くって言うじゃない? だから私が守ってあげなきゃと思って」

 僕はすかさずそのばにいたメイド長のほうを向く。

「メイド長、アイギス王子は女たらしなの?」

「いえ......アイギス殿下はむしろその逆で姫様とお会いしてから他の婚約者候補と一切会うのを断っております」

 メイド長がそう言うならたぶん真実なんだろう。誠実でいい人じゃないか。ついでに僕とお見合いをするのをやめてくれるともっといい人だけど!

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