第123話 男はケダモノ?

「アイネちゃん、あの男に近づいちゃだめよ......男なんてみんなケダモノなの! 気をつけるのよ!」

 エリシアはものすごい手のひら返しであの男呼ばわりまでし始めた。

「いや、そんなことないと思いますけど......クリスさんいい人だし」

「違うわ! そういう作戦なのよ! 男ってそういうものなの! 騙されちゃだめよ!」

「それじゃあ......ロイド王子もそうなんですか?」

 僕は張り合うエリシアに純粋な子供のように質問をしてみた。

「ロイドちゃんは別よ!」

「え? どうしてですか?」

「どう見たってとても綺麗な心の持ち主じゃない? 他の男と全然違うでしょ?」

 どうやらクリスさんの謎理論ではロイドだけはケダモノじゃないらしい。あと、それ僕に同意を求められても困るんだけど......

「よいしょっと! さ、休憩は終わりにして早く帰りましょ!」

 エリシアは僕の体を担ぎあげた。

「え、ちょっ......エリシアさん? 何してるんですか? 僕まだコーヒー飲んでないんですけど!」

 別にコーヒー好きじゃないけど......これ考えるの2回目だ。

「そんなのいいわよ! また今度うちに来た時にご馳走してあげるから」

「エリシアさん! せめて一口!」

「ダメよ! アイネちゃん、コーヒー飲んだら眠れなくなるわ! 夜更かしはお肌も荒れるし早く寝るべきよ! さあ、2人とも帰るわよ」

 エリシアはなぜかメイド長とエリナに命令していた。

 自分だってコーヒー飲んでたくせにとか、メイド長もエリナも2人とも僕のとこのメイドなんだけどとか突っ込みどころは満載だけど今は......

 僕はエリシアが部屋を出ようとしたところで最後にクリスにお礼を言った。

「クリスさん! 今日はいろいろありがとうございました1」

「いえ、アイネ様、また来てもらえると嬉しいです......」

 結局僕はエリシアさんに抱えられてそのまま外にまで連れて行かれた。そして、追いかけるようにしてメイド長とエリナはついてきた。

 それにしても......今の僕ってそんなに軽いのかな? メイド長は力がありそうだけど一国の女王にも抱えられるほどの重さなのか。

 その後馬車に乗った僕は疲れのせいか寝てしまった。

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