第118話 お見送りまで怖いんですけど

「手を......握ったというの!?」

 エリシアさんもオーバーだな......そこまで驚かなくても。はっ......まさか手を握るのは婚約の儀式とかだったのか!?

「ロイドちゃんでも握ってもらったことないのに......」

 エリシアはそのばに崩れるように座りこんだ。

 ......どうやら別に婚約の儀式とかではないらしい。

「執事たちを集めろ! アイネ姫のお見送りをするぞ!」

「はっ......直ちに」

 グラエムはリーダーっぽい執事に命令をするとリーダーっぽい執事は駆け足で部屋を出て行った。

「いやぁ......間に合ってよかったでぇすよ」

 のんきなエリナの声が横から聞こえた。僕はその方向を見てみるとまるで登山家が山を登るときみたいな荷物の量を抱えていたのだ。

「エリナ......何それ?」

「何って......お弁当に決まっているじゃないでぇすか?」

 エリナは不思議そうな顔をしながら答える。

 不思議そうな顔したいのはこっちのほうだよ......

「まあいいや帰ろうか......」

 城の入り口まで来たところでまたまた廊下にずらりと執事たちが並んでいるのが目に入った。

「「お疲れ様でした!! またのお越しをお待ちしております!!」」

 僕たちはドスの効いたヤクザ......もとい執事たちに見送られながら城を後にした。

 馬車に乗ると疲れで寝てしまうかと思ったけど、意外とお尻が痛くて寝られそうになかった。

「申し訳ありません、姫様。帰りもクリス殿のところで休ませていただけるようお願いしていますので、今しばらくご辛抱を」

 さすがメイド長......僕がこうなることあらかじめ分っているとは」

「ところでメイド長......さっきお城でエリシアさんと約束してたみたいけど一体何の約束をしたの?」

 ま、嫌な予感しかしないけど、嫌なことでも心の準備ができる分聞いておいたほうがいいよね。

「はい。ロイド殿下と丸1日お見合いの時間を確保する約束です」

 ......ほらね! こんなことだろうと思ったよ!

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