第119話 手に入れた杖を自慢する
「アイネちゃんも嬉しいわよね。ロイドちゃんとゆっくりお話しできるわよ」
「え、ええ......まあ」
エリシアの純粋な言葉に全く嬉しくないですとは答えられず生返事をした。
「そうだ! アイネちゃん、プレゼントは何を貰ったの? 何とかの杖って言ってたけど?」
エリシアさんがニコニコしながら尋ねた。
「これです」
僕は手に持っている杖をエリシアのほうに差し出した。
「なんだか振る臭い杖ね......あれ? これ......これうちにあったのと同じじゃない?」
エリシアはまじまじと杖を観察するように見ながら呟いた。
「エリシアさん......決定的に違う点があるんですよ! ここ! 『オリジナル』って書いてあります!」
僕は文字が刻まれた場所にびしっと指を突き付けた。
「あら? おかしいわね......わたくしには『レプリカ』って書いてあるように見えるわ」
「いやいや......何言っているんですか......ほらここに『レプリカ』って......あれ?」
エリシアの指摘通り文字をもう一度読み返してみるとそこには『レプリカ』という文字が刻まれていた。
な、何で『レプリカ』!? いや、さっき間違いなく『オリジナル』って書いてあったよね!? どこかで入れ替わった? いや......ずっと僕は杖を握っていたはずなんだけど......疲れてて見間違えたんだろうか?
「元気出して、アイネちゃん。ほら、今回たまたま『レプリカ』だっただけかもしれないじゃない!」
エリシアは僕の様子を見て必死に励まそうと慌てていた。
......たまたまじゃないんだけどね。毎回『レプリカ』なんだけどね。
「はぁ......本物だったはずなのに......」
僕は気が抜けたのと同時にため息が出た。どうやら今回も本物は手に入らなかったようだ。
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