第117話 オリジナルの杖を手に入れた
僕は念のため目をこすってからもう一度見直す。そしてやっぱりオリジナルと書いてあることを再確認した。
「アイネ姫? その杖で合っているか?」
グラエムは部屋の外から僕の持っている杖について尋ねる。
「あ、ありがとうグラエム殿下!!」
歓喜のあまり普段は気持ち悪くて絶対しないけどついグラエムの手を握ってしまった。
すると顔を真っ赤にしてグラエムは僕から目線をそらしながら答える。
「そ、そうか......ならよかった。あ、あと自分は女性慣れしていないので放してもらえると嬉しい......」
「あ、ごめん!」
僕はグラエムから手を離した。
ついに......ついにこの世界からおさらばできるぞ! そして転移前の世界に行って転送ゲートにいたお兄さんの顔をグーで殴ってやるんだ! もちろん姿も元に戻してもらう!
僕は決意を新たにしたところで、とりあえず杖にはスイッチとかもないし使い方が分らないので一度持ち帰ることにした。
「そろそろ時間か。名残惜しいな......また来てもらえると嬉しい」
ほほ笑みかけるグラエムに対して僕は答える。
「うん。きっと(もう来ることはないよ。だって......この世界からおさらばするからね)!」
もちろん僕も笑顔で返した。
その後、僕たちはそれから元の部屋に引き返した。
「アイネちゃん、お帰り」
エリシアが部屋に入った僕の頭を撫でた。
背が小さいせいか僕が頭を下げなくてもちょうどいい位置で撫でられるから少し複雑な気分だ......ま! 元の姿になれば身長もぐんと高く......はならないけど今よりましになる。
「アイネちゃん、何か変なことされなかった?」
「エリシア様、横から失礼して私がお答えしましょう。なんと殿下とアイネ姫は手を握っていらっしゃいました!!」
なぜかリーダーっぽい執事が隣から現れて代わりに感激の涙を流しながら答え始めた。
......というか手を握るとか小学生の男女でもするだろうし泣くほどのことだろうか?
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