第113話 よく食べる子
「アイネ姫、こちらの料理もおいしいぞ? 自分が食べさせてあげよう」
「いや......僕は1人で食べるから......」
嬉しそうにスプーンを僕の口元に持ってきたグラエムの提案を僕は嫌そうに断る。
理由は言うまでもないが......何が悲しくて男にあーんされなければならないんだ!
「殿下......まさか女性とこんなに楽しくお食事をされる日が来るなんて......」
執事リーダーっぽい人はハンカチを目元にあてて号泣していた。
......僕は全く楽しくないけどね。
「美男美女がそろうと......もぐ......本当に絵になりまぁすね......ごくり」
エリナは明らかに何かを食べながら僕とグラエムの様子を眺めていた。
「......というかエリナはさっきからよく食べるね」
そうエリシアVSグラエムの戦い(?)の最中にもエリナがずっと食べていたのを僕は横目で見ていたのだ。
「いやぁ......私は実家が貧乏なものでして美味しい料理を見るとついたくさん食べてしまうんでぇすよ」
エリナは照れたように笑いながら答えた。
......別に褒めたわけじゃないんだけど。むしろ八当たりに言った嫌味だったんだけど。
「いえ、気にせず好きなだけ食べて欲しい。今回の料理はアイネ姫たちのために用意したのだから」
グラエムは文句の1つも言わずにさらに食べるように少し距離をとった位置にいるエリナに勧めた。
「本当でぇすか......悪いでぇすね」
エリナは全く悪びれる様子もなく次々と皿に料理を乗せていく。
悪いと思うなら少しは遠慮してくれよ。何でそんなに山盛りにしているんだよ!! ビュッフェとかと違って急いで取らなくても料理を奪う人居ないから!!
......と言いたかったが当家の恥になりそうなので心の中に止めておくことにした。
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