第111話 対決 王子様VS王妃様

「アイネ姫、料理のお味はどうだ?」

 グラエム殿下がいつのまにか僕の隣まで移動して料理の感想を言いに......

「アイネちゃん、こっちん方がおいしそうよ! あ~ん」

 逆方向からエリシアが現れ、手に持ったフォークにお肉を刺して僕の口へと運んでいた。

 それと同時に口元を押さえながらグラエムがすさまじい動きで僕から飛び退いた。

「うっぷ......なんでエリシア様がこんなにそばにいるのですか......」

 おそらく吐くのを我慢していたのかグラエム殿下が苦しそうにしている。その様子を見てリーダーっぽい執事はグラエムの元へ駆け寄る。

「殿下、お体は大丈夫でしょうか......? もしもお辛いようでしたら今日はこれで......」

 でかしたリーダー執事っぽい人! 今日のお見合いは終わり......ああ、何て言い響きなんだろうか!

「いや......大丈夫だ。折角アイネ姫に来ていただいたのものの5分で終了じゃ失礼だ」

 つらそうな顔をしながらもグラエムは立ち上がって僕のほうへ近づこうとするが。

「あの......何をしているの? エリシアさん? 僕とグラエム王子の間に立って......」

「あら? わたくしがどこに立ってても自由じゃないかしら?」

 グラエムはあきれたような顔をしてエリシアがいない方へ移動する。しかしエリシアはその動きに合わせてグラエムが近づけないようにわざと間に割り込む。

「あの......エリシアさん? わざとやってますよね?」

 再び僕はエリシアに尋ねた。なぜならどう見てもエリシアの行動は明らかに僕とグラエムの邪魔をしているのだ。

「アイネちゃん。わたくし言ったわよね......『お邪魔しに行こう』って!」

 もしかしてエリシアさん......そのお邪魔って他人の家に上がるという意味ではなく、そのままの意味でお見合いのお邪魔しに来たってことだったのか!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る