第98話 そんなことより街の話を聞かせてよ

 僕、メイド長、エリナは馬車に乗り移動し始めた。

「メイド長、ところで今日はなんでエリナを連れてきたの?」

「本日向かうグラエム殿下の国はエリナの出身国だからです」

 なるほど......まあ大体予想通りの答えだったな。

「そうなんでぇす! 私はグラエム殿下の国出身でぇす。グラエム殿下はイケメンで理想の男性像って感じでぇすよね!」

 エリナはとても嬉しそうにグラエムの話をし始めた。

 どんなにイケメンでもどんなに理想の男性像でも僕にとっては何の関係ないよ......だって男という時点で対象外なんだから!

「ソウデスネ」

 とりあえずロボットのように返事を一応返しておいた。

 王子の話題はつまらないな......そうだ。街のことを聞いてみようか。

「それよりさ! 街のこときかせてよ! ほら、行く前にどんな街か知っておいた方がいいでしょ?」

「なるほどでぇす! あの街は何て言うか......分りやすい特徴で言えばほとんど女の人ばかりでぇす!」

 エリナは考える様子を見せた後に思いついたように答えた。

 なるほど......そこは天国ではないだろうか? お見合いするのはやめて街を観光するのに目的を切り替えたいところだ。

「女の人はたくさんいるんでぇすけどグラエム殿下は女性恐怖症で結婚は難しいかもって言われてて......ところで姫様は何でお見合いに行くんでぇすか? グラエム殿下は女性恐怖症なので多分近づけないとおもいまぁすけど?」

「安心なさい、エリナ。姫様だけはグラエム殿下の女性恐怖症の症状はでないのです」

「えぇええ!! じゃあマジ運命の相手ってことじゃないでぇすか!?」

 何を不吉なことを言っているんだ!? 男が運命の相手とか冗談でも言って良いことと悪いことがあるんだぞ!

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