第96話 おなか一杯食べたら眠くなってきたな

「アイネ様、本日はご満足していただけましたか」

 ニーナはとても礼儀正しく頭を下げた。

「うん。こちらこそおいしい料理をありがとう」

 やはり見た目の割にかなりメイドとしては優秀なのがしぐさからも分かる。一方、こちらのポンコツなメイドのアスカは見た目以前に一般人以上に役に立たないメイドもいる。メイドにもいろいろな人がいるんだなと実感するよ。

「姫様、どうしたんですか? ......ははん、もしかして妹の話を聞いて人肌恋しくなったんですね。今日は私のことをお姉ちゃんだと思って甘えてもいいんですよ」

「ちょっと! アスカ! 何でさっきの話題をぶり返すんですか!? せっかく姫様がこれ以上の詮索を許してくれたんですよ!」

 カタリナは挙動不審に右へ左へ歩きまわっていた。

「す、すみません! さっきのは聞かなかったことにしてください!」

 アスカはペコペコと頭を何度も下げた。

 カタリナに免じてさっきのアスカの発言は聞かなかったことにしてあげよう。アスカの謝罪は心に響かないかって? そんなの日常風景と言っても過言ではないくらい見飽きているからもはや何とも感じないよ。

「まあアスカだし。しょうがないよ」

「姫様、何でそれが納得する理由になるんですかぁああ!?」

 とアスカが私の服を引っ張りながら聞いてきたが気にしないことにした。

「ご歓談中申し訳ありません。私はそろそろ帰らなければなりませんので本日はこれで失礼します。遊びに来ていただける日を楽しみにしていますね」

 おっと......ニーナを放置していた。話が終わるのを待っていてくれたのだろう。

「あ、ごめん。今日はありがとう。気をつけて帰ってね」

「はい。ありがとうございます」

 ニーナはお礼を言ってそのまま部屋を出て行った。

「ご飯食べたら眠くなったな......早めに寝ようかな」

「そうですね。明日もお見合いがありますしその方が良いと思います」

 カタリナがテーブルを掃除しながら僕の独り言に反応してくれた。

 ......やっぱり早く寝るのやめようかな?

 そう思わずにはいられなかった。

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