第78話 考え方を変えろ!
コロネが振り返りこちらを睨んできた。
......僕を睨まれても困るんだが。というかむしろ僕としてはこのお見合いをキャンセルさせてもらいたいぐらいなんだけど。
「姫様! お茶をお持ちしましたよ......きゃあ」
アスカが持っていたティーポットは宙を舞いそのままコロネの頭の上に乗っかった。
もちろんティーポットの中身はコロネにかかっている。
「あつ......くわないわね。何これ......ぬるいんだけど」
「す、すみません! 温めるの忘れてました!」
ペコペコとアスカはコロネに頭を下げていた。
......謝るのはそこじゃないと思うけど。
「コロネ! ごめんね。浴場貸してあげるから入ってきなよ」
「うん......そうするわ」
僕の言葉にコロネが頷いたので、手を引いて部屋の入り口まで移動する。
「ザックス王子。申し訳ありませんけど少し席を外させていただきますね。
「はい。私はこの部屋で待たせていただきますね」
僕はそのまま部屋を出ようとしたところでアスカに呼び止められて。
「あの......私はどうしましょうか?」
「アスカは僕について来て」
ここにいられると不安だからね......
「はい! 分かりました!」
アスカは返事をすると部屋から出る僕たちについて来た。
「あーあ、何でザックス王子は私には冷たいのかな......」
浴場に向かう最中にコロネはつぶやいた。
好きな女の子相手とそうじゃない女の子相手じゃ対応は変わるのは当たり前だろう。
いや待て......考え方を変えるんだ僕!
「コロネ、こんな言葉を知ってる?」
「え? 何よ?」
「『好きな子ほどいじめたくなる』って言葉さ」
「まさか!」
「そうだよ。きっとザックス王子は照れ隠しで冷たくしているだよ。僕にあえて優しくすることでコロネの反応を見て楽しんでいるんだよ」
「そ、そうだったのね! わたくしとしたことが盲点だったわ」
いい感じにコロネは勘違いしてくれたようだ。
「はっ!? メイド長が私にいじわるするのも私のことが好きだからだったんですね......」
アスカはなぜか僕の言葉を聞いて納得したようだ。絶対違うと思うけど言わないでおいてあげよう。
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