第75話 やっと最後の1人も帰ってくれた
「まあ何はともあれこれで邪魔ものが全員帰ったな」
アイギスは先ほど何もなかったかのように平然と話しかけてきた。
「アイギス殿下、恐れ入りますがそろそろお帰りいただくのがよろしいかと」
メイド長が珍しくお見合いを終わらせようとしてくれていた。
いつもなら何が何でも続けさせようとするのに......は!? もしかして......
「メイド長......もしかして僕の体調を気遣ってくれたの?」
最近いろいろあって疲れてたからね。メイド庁もいいとこあるじゃないか!
「いえ、もうお時間が遅いのでそろそろお帰りいただかないとアイギス殿下のほうが困るかと思われます」
どうやらメイド長の先ほどの言葉はアイギスへの配慮の言葉だったようだ。
まあ......うん。分ってたけどね。メイド長がそんなことするわけないって。
「どうかしましたか、姫様? そんな悲しそうな顔をして?」
「アスカ、現実はつらいなと思ってね」
「私もそう思います。だって私の給料も上がるどころかどんどん下がっていきますし! 全く理不尽な世の中ですよ!」
アスカのかかえている問題は僕の問題とは違って自身の努力で何とかなるんじゃないだろうか? たぶん......何とかなるよね?
「まあ良いか。また4日後、楽しみにしているぞ」
そう言ってアイギスも部屋を出て行った。
「はぁ~疲れた」
僕はソファーのところまで歩いて行きそのまま倒れ顔をうずめるように横たわった。
ガニアンがいろいろとやらかしてくれたせいでもう今日はへとへとなのだ。
「お疲れ様です、姫様」
メイド長が紅茶を持ってきてくれたようだ。
なんだかんだでメイド長は気がきくし困った時は助けてくれるな。
さっきだってメイド長が通報してくれたおかげで少なくとも明日はお見合いに乱入する人はいないわけだ。その点はメイド長に感謝だな。
そう思っていたけど僕の予想は外れることになるのだ。
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