第73話 連れ戻しに来たようだ

「メイド長、次に予定が空いているのはいつ?」

 僕は杖が早く欲しいので早速メイド長に予定を確認する。

「はい。4日後でございます」

 4日か......つまりあと3日はお見合いの日々が続くということだね。

「アイギス殿下、4日後お邪魔してもいいかな?」

「ああ、もちろん構わない」

 アイギスは快く承諾してくれた。

「私も問題ないですよ!」

 別に聞いていないけどガニアンも返事をした。

 その直後部屋のドアが勢いよく開けられた。

「ガニアン王女! ガニアン王女はおられるか!」

 中に入ってきたのは騎士風の男で幾多の戦場で戦い抜いてきたようなそんな風格を感じさせる。

「げっ......ハリソン!」

 ガニアンはその男をそう呼んだ。

 どうやら2人は知り合いなのだろう。

「王女ともあろう方が『げっ』とは何ですか? 『げっ』っとは?」

「そ、そんなことはどうでもいいだろう! 何をしに来たのだ!」

「もちろんあなたを連れ戻しに来ました」

「フン! 王国軍隊長でも王女に命令する権利など持っていない! 早急に帰れ!」

 ガニアンはだだっ子のように屁理屈を言ってハリソンを帰らせようとしている。

「確かにその権利はありません。しかしこのお方の命令ということですからそういうわけにはいきません」

「このお方? いったい誰のこと.......お、お父様!?」

 ハリソンの後ろから現れたのは頭に王冠を乗せ、とても煌びやかな衣服を纏ったまさに只者ではない空気を感じさせる初老の人物が現れた。

「ガニアン、うちに帰りなさい」

「くっ......お父様の命令となれば逆らうわけにもいかないな」

 ガニアンは今回はおとなしく命令を聞いたようだ。

 ガニアンパパ......グッジョブです!

 そんなことを考えているとガニアンの父と目があった。

「君がアイネ姫か......噂に違わず実に美しい女性だ」

 するとガニアンの父は私に近づいて手を握ってきた。

「実は私は妻をなくして一人身なのだ......だから私と結婚して子を産んではくれないか?」

 は? 何言ってんだこのエロジジイは?

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