第71話 お見合いが再開されてしまった

 ガニアンが席に戻ったことを確認するとアイギスはメイド長に案内された席に座る。

「これでやっと始められるな」

 アイギスは少し嬉しそうな顔をしている。

 ......この人確か屈辱を晴らしに来たんじゃなかったっけ? 何で嬉しそうなんだよ......とりあえず忘れないうちに可愛いって言ったこと謝っておこうか。

「あ、あの......この前のことごめん」

「この前のこと? 何のことだ?」

 アイギスは不思議そうな顔をして首をかしげている。

 こ、こいつ......ここに来た時には覚えていたくせにいろいろやり取りしているうちに忘れたのか!?

「えっとその......可愛いっていったことなんだけど」

「まあ気にするな! 小生は寛大だ! それくらい許してやる」

「そっか! ありがとう。じゃあ今日は目的も果たしたということでお開きにしようか!」

 そう言って僕は立ち上がろうとしたが全然立ち上がることができなかった。そう......肩をしっかり押さえられていたからだ。メイド長に......

「メイド長......何してるの?」

「肩が凝っているようでしたので揉んで差し上げようかと思いまして......それよりお見合いを続けてください」

 おっと僕のさっきの言葉が聞こえていなかったのかな? もうお見合いは終わりだよ。

「せっかく戻ってきたんだしもう少し話さないか?」

 アイギスは余計なことを言い出した。

 何も言わなければこのままお開きに......はならないか。メイド長が後ろで監視しているわけだし。

「あ、そうだ! アイギス殿下はイセカイテンイの杖を持ってる?」

 一応普段の流れ通り持っているかどうか確認してみる。

「杖? うちにはたくさん杖があるから......あるかもしれないしないかもしれない」

 アイギスは腕を組んで考える素振りを見せる。

「......お、覚えてないの?」

「ああ、覚えてないな!」

 おっと......これは予想外の展開だ......

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