第64話 子供な大人と大人な子供

「アイネ姫姉ちゃん、このちっちゃい人誰? 弟?」

 チャーリー殿下は無垢な表情で僕に尋ねてくる。

「えっとその人は......」

 僕が答えようとしたところにアイギスが割り込んで代わりに答える。

「汝、無礼だぞ! 小生に向かってちっちゃいだと! これでもアイネより年上だぞ!! あと兄妹ではなく小生は婚約者候補だ!」

 後半部分は正しいけどちっちゃいってのは間違っていないんじゃないかな?

 だってアイギスは僕より小さくてチャーリーは僕より大きいもの。

「へぇ、そうなんだ。ごめんね。仲がよさそうに見えたから姉弟かと思ったよ。

 チャーリーはちっちゃい発言のところにふれない大人の対応を見せた。

「ふん! 分かればいいんだよ。あと今から小生のお見合いの時間だから帰っていいぞ」

 アイギスは入口のほうを指差してチャーリーに命令をする。

「ねえメイド長。今日はアイギス殿下とお見合いの予定なの?」

 僕は小声でメイド長に尋ねる。

「はい。本日の1時間後から予定しております」

 つまり、時間より早く来たのに先約の王子様に帰れと命令しているわけだ。

「でも、ぼかぁまだアイネ姫姉ちゃんとお話したいな」

 チャーリーは椅子に座っているので上目使いでアイギスにお願いする。

 ......というかまだ時間になってないから本来お願いする立場じゃないんだけど。さすがと言うべきか大人の対応を見せるチャーリー。

「そんなことは知らん。小生がもう到着したのだ。だからお見合いを始めるのだ。アイネはどうせお前のような子供に興味はない。さっさと帰ることだな」

 うん......確かにチャーリーには興味はない。でもアイギスにも興味ないよ。

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