第59話 戦う理由
先ほどの流れで庭に出てガニアンとカインは決闘することになった。
僕は庭にある椅子に座りながら優雅にお茶を飲みながらその様子を見守ることにした。
「......何か前にもカイン殿下は決闘してなかったっけ?」
そう。前回カインが来た時にはロイドと決闘をしていたのだ。
2人とも決闘好きならお似合いじゃない? いっそ結婚してくれればいいのに......
「お前の分の木剣だ」
カインはガニアンに剣を投げて渡した。
「何だこれは?」
「決闘用の木剣に決まっているだろう」
不思議そうに木剣を見ているガニアンにカインは答えた。
「いや、私にはいらない。なぜなら......」
ガニアンは木剣をその場に捨てて腰にある真剣を鞘から抜く。
「この剣があるからだ!!」
「木剣を使って!」
すかさず僕はガニアンが捨てた木剣を拾い上げ手渡す。
真剣で斬りあったらこのあたり一面が殺人現場になりかねないよ......
「なるほど、あの男の血で庭を汚すわけにもいかないですよね!」
あながち僕の願望とそう違っていないので突っ込みを入れずらい。とりあえず庭を殺人現場にしないことには同意してくれたようだ。
「じゃあ始めるぞ」
カインのその言葉で決闘が始まる。2人の持っていた木剣からビュンと風を切る音を鳴らして激しくぶつかり合う。
「なかなか腕を上げたじゃないか?」
ガニアンは持っている木剣にさらに力を入れる。するとカインが少しずつ後ろに押されていく。
「負けっぱなしは趣味じゃないからな」
カインは今度は押し返すように木剣に力を入れるとそこで力が均衡してどちらも一歩も引かない姿勢になる。
剣のことなんかよく分らない僕から見ても2人ともかなりの使い手だ。
「私のアイネ姫とのティータイムのために......」
「俺のアイとのデートのために......」
「「ここで負けやがれ!!」」
2人の木剣を握る手にさらに力が入り、2人とも武人らしいかなり恐ろしい表情な半面、戦いを楽しんでいるようにも見える。
それはさておき、僕は思うんだけど......とても素晴らしい戦いではあるけどその戦う理由がそれに見合ってないよね?
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます