第55話 誕生日会終わり

「おかえりなさい。アイネちゃん。大丈夫? なんだかとても疲れているように見えるわ」

 先ほどの拷問のような話を聞いた後に誕生日会会場に戻った僕をシャーリーが迎えてくれた。

「ただいま......えっとまあ大丈夫。それにしてもセレナちゃんは自分の誕生日会なのに、本人が6時間も不在にしていいんだろうか?」

「うふふふ。誕生日会と言っても皆様がお話したいのは次期国王であるロイドさんのほうでしょうから問題ないと思うわ」

 言われてみれば納得だ。王様の妹よりも王様と親しくなっていた方が後々有利だろうし。

「でも私は男の人は興味がないから女の子とずっと話していたけれど」

「あははは......そうなんだ」

 シャーリーは女の子なのに王子様に興味なしなんだね。この人の未来が少し心配だな。

 あ......王子様に興味がない女の子って僕もじゃないか......

「姫」

 相変わらずほとんどしゃべらない王子様がまたもや僕の目の前に立っている。

 さすがに本日2度目となればもう驚かない。

「何か用?」

「ずっと姿が見えなかったから心配で......」

「ああ、セレナちゃんとロイドのお母さんに拉致されててじっくり、たっぷりとお話を聞かされててね......」

 あの強引過ぎる2人と血がつながっているのだろうかと思いながら僕はロイドを見た。

「えっと......どうかしましたか?」

 おっと......ロイドの顔を少し見過ぎたかもしれない。

「ごめん、何でもない」

「そうですか。約束の杖......あげます」

 ロイドは僕にイセカイテンイの杖を渡してくれた。どうやら約束を覚えていたようだ。

「ありがとう」

 僕は差し出された杖をそのまま受け取ると期待せずに「レプリカ」の文字が書かれているか確認した。

 やはりというべきか「レプリカ」と書かれていた。

「まあ、そうだよね」

 今日のミッションはこれで終わりかな......あれ? セレナとロイドの母に拉致られる前に何かメイド長に聞こうとしていたような? ......なんだったっけ? まあいいか。

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