第51話 世界のトップ

 コロネが連れて行かれた後、僕とシャーリーは料理を食べていた。

「見たことない料理だけど意外と美味しい......」

「ふふふ......その料理はここの国でしか食べられない料理なのよ。噛んだときにお肉の脂が出てきて美味しいでしょ」

 シャーリーが笑いながら僕の食べている料理について教えてくれた。

 料理を食べていると後ろから声をかけられた。

「アイネ姫......? アイネ姫じゃないですか!?」

 声の方向を振り返ってみると右目に眼帯をして、赤いタキシードのような男装をした僕よりも年上の女性がそこに立っていた。

 何で男じゃなくて女か分っただって? 彼女にはシャーリーほどではないけれどなかなかのおっぱいがあるからだよ!

「誰ですか......?」

「お忘れですか? ガニアンです!」

 いや、全く知らないけど......もしかして転生前に知り合っている人なのかもしれない。

 それにしても何で明らかに僕より年上のこの人は僕に敬語を使っているのだろうか?

「えっと......僕は実は記憶喪失でして......」

「な、なんということですか。では私のことも覚えていないと......」

 僕がコクリと頷くと悲しそうな顔をしてガニアンは落ち込んでしまった。が、すぐに復活して僕の肩を掴んで言葉を続ける。

「で、ですがあなたに救ってもらった命......たとえ覚えていなくてもアイネ姫のためならなんでもすると決めています!」

 この人服装から見てもかなり高貴な人だと思うんだけどどういうことなんだろうか?

「あの? 失礼ですがもしかしてガニアンさんはセントラル王国第一王女ではありませんか?」

 横からシャーリーがガニアンに尋ねた。

「ああ、そうだが」

 シャーリーに返事をしたガニアンは先ほどまで僕に話しかけていた感じとはまるで変わり少し怖い感じに見える。

「ええっと、シャーリーさん。つまりどういうこと?」

「セントラル王国はこの世界で最大国家なの。そこの第一王女ということは実質世界のトップと言ってもおかしくないわね」

 な、なんかすごい人出てきた!!

 僕は目を丸くしてガニアンのほうを見る。

「そんなに驚かないでください。大したことないですよ。それよりアイネ姫、何か困っていることはないですか? 力になりますよ」

 困っていること......そりゃもちろん。

「毎日お見合い続きっていうのが困っていることかな」

 僕は何の考えもなしにふと思ったことを口に出した。

「分りました。では、アイネ姫のために我が国力を持って世界中のすべての男を絶滅しましょう」

「ちょ、何言ってんの!」

 僕はガニアンの前で下手なことを言えないなと思わずにはいられなかった。

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