第50話 頭の悪い犯行予告

「まあまあ! とても美味しそうね!」

 シャーリーは目を輝かせてコロネを見ている。料理ではなくコロネの方を。

 せめて髪型を見て美味しそうな髪型という意味で言っていると信じたい!

「そういえばチョ......コロネは僕の家を地に落とすに言ってたけど結局何もしなかったんだね」

 そう、前回とんでもないことを言い出したので事故を装って暗殺とかするのかなとか考えてたけど結局何もしてこなかったのだ。

「何よあんた! ケンカ売ってるの!? またチョココロネって言おうとしたでしょ! 私を怒らせるとどうなるか思い知らせてやるわ! そこのメイド!」

 コロネはたまたま通りがかったドリンクを運んでいるメイドを呼び止めた。

「はい。何でしょうか」

「毒入りの料理を持ってきなさい! この女に食べさせるわ!」

 コロネは僕のほうをビシっと指さしてメイドに命令をした。

 しかし、この子は頭が悪いんだろうか? 被害者(予定)に対して殺害方法まで予告しているよ......

 メイドがベルを鳴らすとスーツのような服を着た男たちが集まってきた。そのうちの1人の男が口を開いた。

「どうしたんだ?」

「こちらのご令嬢の方が毒入りの料理を食べさせようとしています」

 メイドが手のひらをコロネのほうに向けると男たちがコロネの周りに集まってきた。

「な、なによ......あんたたち」

 コロネがおびえた表情で周りの男たちを睨みつけた。

「少し裏でお話を聞かせていただきましょうか?」

 男の一人がコロネの腕を掴んで外に連れ出そうとする。

「なんでよぉおおお!?」

 コロネの叫びもむなしくそのまま男たちに取り囲まれながら外に連れ出されてしまった。

「ひきつづきお楽しみくださいませ」

 メイドは一礼をしてその場を立ち去って行った。

 このあとコロネはどうなるんだろうか? 暗殺されそうになった僕が心配するのも変な感じだけど穏便に許してもらえるといいな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る