第46話 紳士のたしなみ
僕は本日の予定通りロイドの家に馬車で向かうことになった。
今回は僕とメイド長とサーシャの3人で行くことになった。
メイド長は遠出にはいつもいるけど今回サーシャが来たのは実はサーシャがロイド領の出身だったからなのである。
「ロイド殿下のいるところってどんなところなの?」
馬車での道中暇だったのでサーシャに質問をしてみた。
「ひと言で言うといい街ですよ。街にも活気があって人はみんな優しいしですし。もちろん姫様のところの街もいい街ですよ」
あたりさわりのない答えが返ってきた。そんなんじゃ街のイメージはつかないよ......
「ロイド殿下の領地は人口は20万人程度で、姫様の国よりはかなり小規模な領地となっております。主に農業で生計を立てている方が多く、特産品としては米が有名です。特にその米を使った純米酒は各国から取り寄せの依頼が絶え間なくあり......」
「ちょ......情報量多すぎ! なんで何でメイド長そんなに詳しいの?」
僕はメイド長が延々と語りだしたので当然の疑問をメイド長に投げかける。
「隣国のことを知っておくのはメイドとして当然ですから」
メイドってこんなに有能だったっけ? でも、アスカのようなポンコツと平均をとればバランスが取れるかもしれないけど。
そんなことを考えながら周りの景色を眺めていると前方に綺麗な女性が困り果てたようにうろうろ歩きまわっているのが見えた。
「あの人どうしたんだろう?」
僕はふと気になって呟いたのに対してメイド長が答える。
「道にでも迷ったのでしょう」
「なら近くの街まで送ってあげないと!」
「見ず知らずの方に対してなぜそのようなことをしなければならないのでしょうか? ここはもう国外であなたの国の領地ではないので見ず知らずの相手と関わるのは危険です」
メイド長は不思議そうに首を傾げる。サーシャのほうも見てみるがメイド長に同意するかのようにうなずいていた。
「困っている女性を助けるのは紳士のたしなみじゃないか!」
「姫様......」
メイド長は鋭い眼光で僕を睨めつけんばかりに見つめる。
「え? 何?」
「姫様は紳士ではなく淑女です」
そうだ! 今は淑女だった。いや......そんなことはどうでもいい!
「とにかく! 困っているんだから助けてあげよう!」
僕たちはその女性に声をかけることにした。
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