第45話 本物の見分け方
「ん~。よく寝た!」
今日はお見合いをしなくていい日だと思うと晴れやかな気分だ。
朝食でも食べに行こうと僕は早速食堂へ向かうのだった。
食堂に入り席に座るとメイド長が料理を僕の目の前に用意した。
「メイド長、ありがとう。あ、そうだ。ロイド王子家まではどれくらい時間かかるの?」
僕はふと思い出したように聞いてみた。
「馬車で1時間程度です」
「ふ~ん。意外と近いんだね」
そんなに近いなら誕生日会とか関係なくロイドの妹と仲良くなれたらたまに遊びに行ってもいいかもしれない。
こっちで友達って感じの人居ないから少し寂しいんだよな。
そんなことを考えていると食堂のドアが開かれた。
「姫様、アラン殿下とマルス殿下からお届物です」
お、もしかしてイセカイテンイの杖をもう届けてくれたのか?
僕は手早く朝食を済ませ入口のそばに駆け寄ってメイドが持ってきてくれた包みを開けた。
2本とも本で見た見た目と同じだった。
「......ところでこの杖ってどうやって使うの?」
本には使い方までは書いていなかったのだ。
「姫様、前にもいいましたけど本物なんてないので使えませんよ」
僕は顔を上げると杖を持ってきてくれたのはあのBL好きのメイドさんだったことに気づく。
「あなたはBLメイド!?」
「BLメイド? よく分りませんが私の名前はサーシャですよ?」
僕はBLと言った後にふと思い出した。この人の前でBLネタの話をしたら命を取られかねない!
BLという言葉がこの世界になかったことに感謝しよう。
「姫様、本物か偽物か見極める方法なら知っていますよ」
「え! サーシャ知っているの!?」
「はい。だって、ここに......」
サーシャは杖の柄の部分を指差した。
僕は顔を近づけて目を凝らして見ると「レプリカ」と書いてあったのだ。
「分りやすい見分け方!!」
念のためもう一方の杖も見てみたがやっぱり「レプリカ」の文字が書かれていた。
そう簡単には元の世界に戻れないってことか......
でもひょっとするとこの世界のどこかに本物もある......といいなぁ。
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