第44話 誕生日パーティーのお誘い

 マルスが帰ってしばらくソファーで休んでいると多少気分が良くなってきた。

 僕はため息交じりにこうつぶやいてしまった。

「はぁ......たまには女の子とゆっくり時間を過ごしたいな......」

「ならちょうどいい」

 突然背後から声が聞こえたので慌てて後ろを振り向きそこにいた人物と距離をとった。

 そこにいたのはロイドだったのだ。

「どこから入ってきたんだ!?」

「ドアから......」

 ロイドは部屋のドアを指差した。忍者でもあるまいしそりゃそうだろうけど......

 それにしても休んでいる僕に追い討ちをかけるようにここにロイドを連れてきたメイドは誰だ!? メイドなら僕のことを気遣ってくれよ!

「姫様、私がお連れしました」

 メイド長がさも当然のように心を読んで答えた。つまり諦めるしかないようだ。

「そう言えばさっきちょうどいいって言ってたけどどういうこと?」

「私の妹の誕生日会のお誘い......」

 ロイドは手紙のようなものを僕に手渡した。開封してみると招待状が入っていた。

 日付を見てみると明日で会場はロイドの家のようだ。いやいや、明日って......こんなに急な予定空いているわけが......

「空いていますよ」

 やはりというべきかメイド長は僕が質問する前に教えてくれた。

 しかし、これはラッキーだ。妹の誕生日ということは女の子がいっぱい来るはずだ!

「喜んで行かせてもらうよ」

「ありがとう。妹も喜ぶ。何かお礼をさせて欲しい」

「別にお礼なんてこっちも......はっ!」

 まさかとは思うけどロイドもイセカイテンイの杖持っていたりするのだろうか?

 いや、まさかね。そんなどこにでもあるようなもんじゃないんだしさ。

「イセカイテンイの杖とか持ってないかな? 持ってたらもらえると嬉しいんだけど」

「持っているからプレゼントする」

 やっぱり持っているんかい! というか世界に何個あるの? スマホみたいに誰でも持っているアイテムなの?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る