第29話 自由時間
今日は予定も特にないので昼からは自由にしても良いということだった。
もしかして、この世界に来てから自由にできるなんて初めてじゃないだろうか?
「何もしなくていい! なんていい響きなんだ!」
僕はベッドにダイブしてゴロゴロする。
しかし、この世界にはゲームやスマホのような暇つぶしグッズがない。ゴロゴロするのはたった30分くらいで飽きてしまった。
とりあえず何か暇つぶしのグッズがないか探しに行こう。
部屋のドアを開けて外に出た。すると外に待機していたメイドに呼び止められた。
「姫様どちらに?」
「適当に探検しようしようかなと思って」
「分りました」
僕はそのまま歩きだす。だが数歩ほど歩いたところで自分の足音以外の音が後ろから聞こえるのに気付いた。
後ろを振り向くとメイドがすぐ後ろに立っていたのだ。
「えっと? 何でついてくるの?」
「メイド長に姫様のことはしっかり監視するように言われておりますのでお供いたします」
メイド長ぉおおお! そうか......以前に脱走しようとしたせいかもしれない。
「はぁ......」
僕は諦めてメイドのお供つきで探検することにした。
歩いていると自分の住んでいるところがいかに広いかを実感させられるな。
探検するだけでも今日1日が終わってしまうんじゃないだろうか。
たまたま目に入ったドアを開いて中に入ってみる。
するとそこには本が入った棚がずらりと並んでいた。
「へぇ。こんな部屋あったんだ」
本か......暇つぶしには読んでみるのもいいかもしれない。
僕は中に入って読む本をタイトルを見て決める。「伝説の聖剣」というタイトルの本が目に入った。何かファンタジー感のあるタイトルだ。
「これを読んでみよう」
「姫様それは!」
後ろからついてきたメイドが止めようとしたが僕は先に中を開いてしまった。
『俺の伝説の聖剣を味わってみるか』
『兄さん、だめだよ。僕そんなの入れられちゃいっちゃぅううう!』
裸の男が抱きあっている。オイ......これはまさか。
「読む前に止めたってことはメイドさん知ってたんだね?」
「えーその......はい。私の本です......」
異世界でもこういうの好きな女の人はいるんだな......
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