第26話 10人目
国王様と王妃様が連れて行かれた後に僕は食堂で朝食を食べることにした。
「メイド長、昨日気になったんだけどお見合いの相手ってあと1人いるんだよね?」
「はい。いらっしゃいます。しかし、もしかするとお見合いをされないかもしれません」
「よっしゃぁああああ!! お見合い相手が1人減ったぁあああ!!」
僕は力の限り喜んだ。お見合いをされない......と、ああ何て言い響きなんだろう。
他の王子様も見習ってお見合いを辞退してもらえないものだろうか。
「姫様? 何を喜んでいらっしゃるのですか? まだ『かもしれない』というだけです。ことは政治的問題ですので向こうもそう簡単には断れないかと思います」
なんだよ......メイド長め、期待させやがて......
まあでも、あちらの方も乗り気でないなら、形だけ1回済ませればそれで終わりでしょ。
「ところでその人は何でお見合いをしないかもなの?」
「はい。グラエム殿下は女性恐怖症なのです」
よし! でもこれなら望みは高いんじゃない?
ありがとう神様。まだ僕はあなたに見捨てられたわけではなかったのですね。
僕は自然と笑みがこぼれてしまう。
「大変です! メイド長!」
アスカが突然食堂のドアを勢いよく開けて入ってきた。
「何事ですか?」
「はい。グラエム殿下という人が来ているんですけどお通ししてもいいですか?」
グラエムだと......ちょうどいい早速来るなんてついている。僕は嫌なことは先に終わらせるタイプなんだ。
「はぁ......あなたは姫様の予定を把握していないのですか? さらに減給......と」
メイド長はメモ帳を取り出してアスカの減給を記録しているようだ。
「メイド長!! 減給だけは勘弁してください!! これ以上私の給料が下がるともやししか買えない給料になっちゃいますよぉおおお!」
どれだけ減給されたらそんな給料になるんだろうか。アスカが少しかわいそうになってきた。
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