第25話 国王様と王妃様がやっと帰る
翌日のこと。一夜が明けて国王様と王妃様が帰る時がやってきた。
「アイネちゃんパパとママがいなくなって寂しいんじゃないか? あともう1日暗い仕事休んでもいいんじゃない?」
「なりません。昨日1日開けるだけでもいろいろと調整必要だったのです。もう1日など不可能でございます」
状況的には国王様がだだをこねてセバスチャンが説得しているという構図だ。
正直、記憶もないわけだから帰ってもらってもまったく寂しくないんだけど。
僕から見ればただのおっさんとおばさんになるわけだし。
「セバス、お前がわしに変装して仕事をすればよかろう?」
そんなことできるわけないでしょ。国王様とセバスチャンでは体格が見るからに違うでしょ。
しかも、声だって全く似ていないわけだし。
「ダメです。あの時は仕方なくやったことであって、こんな時のためにするものではございません」
え......できるの!? どこかのアニメに出てくる怪盗みたいな能力まで持っているのか。
王妃様が僕に近づいて来て両手で手を握る。
「アイネちゃんまたすぐに会いに来るからね。それまで辛いだろうけど我慢してね」
「はい。楽しみにしています。ママ」
僕がニコッと笑うと王妃様が倒れるように地面にしゃがみ込んだ。
「立ちくらみがしますので、今日は1日休みます」
「あ、ずりぃ、ずりぃよ! だったらわしも立ちくらみするから休むぞ!」
国王様が王妃様に便乗して仕事を休もうとしている。
学校をずる休みするのと訳が違うだろうにこの2人は何をやっているんだか。
「分りました。ではお城に戻るまでの移動中お休みください。では失礼します姫様」
「「セバスゥ!!」」
国王様と王妃様の叫びもむなしくセバスチャンに連れて行かれた。
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