第23話 和食が食べたくなった

「アイネちゃん今日は何が食べたい? ママが何でも用意してあげるわよ」

 王妃様が僕に今日の夕食について聞いてきた。

 正直元々一般人の僕から見ればここの食事は何を食べてもおいしい。

 しかし、洋食ばかり食べているのでたまには和食を食べてみたい。

 その時ぱっと思い浮かんだの食べ物の名前を口にした。

「お寿司が食べてみたいです」

 周りにいた人たちはざわざわしだした......そっかお寿司なんかこの世界にはないのか。

「いや......やっぱり」

「シェフを呼びなさい!」

 王妃様が僕の言葉を遮ってメイドの1人に命令をする。しばらくするとそのメイドがシェフを数名連れてきた。

「オスシというものを作りなさい」

「失礼ですが......オスシを私たちは知りません。ですので作れとおっしゃられても」

 王妃様が指を鳴らしてこういった。

「あなたたちは解雇!」

「ママそれはダメ!」

 夫婦は似るって言うけれどほんと似てるよ......

「アイネちゃん、料理を作れないなんていうシェフは雇う価値ないでしょ?」

「じゃあ僕が教えます! お寿司っていうのはご飯の上に魚の切り身をのせた食べ物だよ」

「アイネちゃんは優しいのね。これで作れなかったら解雇するわ」

 王妃様はシェフたちを睨みながら言った。

 シェフたちは下がり早速料理りとりかかったようだ。

 魚の焼けるいい匂いがしてくる......何で焼いてるの?

 いや待て。炙りサーモンとかは焼くじゃない。何も間違った調理方法じゃない。

「こちらオスシでございます」

 バターで炒めた米の上にサーモンのムニエルがのせられていた。

「これはお寿司じゃ......」

 はっ......今否定したらシェフたち解雇されてしまう。

「わ、わぁい......お寿司だ......」

 テレビで見る政治家たちのように発言には十分注意せねば......

「姫様」

 メイド長がお皿の上にお寿司をのせて持ってきた。今度はお酢の米の上に生の魚がのった本物のやつだ。

 ありがとうメイド長。本当にお寿司が食べられるなんて思わなかったよ

 僕は喜びのあまり無我夢中でメイド長の持ってきたお寿司を食べる。

 ......ん? そういえば何か忘れているような......

 幸せそうにメイド長の持ってきたお寿司を食べているのを見て王妃様は気づいたのだ。シェフたちが作ったものが偽物であることに。

「シェフたちは解雇しましょう」

「ママだからそれはダメ!」

 何とか無理を言って解雇はやめてもらいました。

 発言だけじゃなくて行動にも注意しないとってことか......いろいろ大変そうだ。

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