第22話 有能な執事

「まさか国一番の医者でも治すことができないとは......」

 国王様は頭を抱えながら呟いた。それを慰めるかのように王妃様は口を開いた。

「あなた......それでもアイネちゃんが愛おしいことに変わりはありません。そうでしょ」

「うむ......確かにその通りだな。しかし、こうなったらアイネちゃんは死ぬまでパパとママで面倒を見てあげないとな」

 え? その理論だと僕の方が国王様や王妃様より先に死ぬことになるんだけど......

 国王様は立ち上がって宣言する。

「よし! 決めたぞ! アイネちゃんは結婚させないぞ!」

「国王様そんなことをしてしまうと後継ぎができずアイネ姫様の代でこの国が滅びてしまいます」

 黒いタキシードを着た白髪のお爺さんが突然現れて淡々と言った。

「わっ......誰このお爺さん?」

「姫様、私はセバスチャンと申します。国王様と王妃様の身の回りのお世話をさせていただいております」

 セバスチャンは一礼をする。

「でもまだ結婚なんて早いと思うんだけど。セバスもそう思うだろ?」

 国王様が砕けた口調でセバスチャンに尋ねる。

「王妃様はアイネ様の年齢で結婚されておりました。全く早くありません」

「でも......」

「よろしいのですか? アイネ姫様が結婚できなくても」

「う......」

 国王様は言葉に詰まる。セバスチャンってなんだかメイド長に似ている感じがするな。

「当然ですよ。姫様。セバスチャンは私の父ですから」

 メイド長が質問もしてないのに答えてきた。

 というかいつも心を読まれているのだろうか?

 なんだかこれじゃあ下手なことを考えてもすぐにばれてしまうだろうな......

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