第21話 両親と初めて会った

 ザックスが帰った後に僕は昼食を食べながらメイド長に聞いてみた。

「この後は誰とお見合いをするの?」

「この後は国王様と王妃様とお会いしていただきます」

 意外な答えが返ってきた。

 もちろんお見合いをしないのは嬉しいけれど今更になって両親に会うのか。

 でも記憶ないんだけど大丈夫なのかな?

「記憶喪失の件もご存じですので一緒に国一番の医者も一緒とのことです」

 さすがメイド長......僕が質問する前に答えるのか。

「失礼します。国王様と王妃様がお見えになりました」

 いよいよ両親と会うのか......国王様と王妃様ってことはとても厳格なかたなんだろうか。緊張するな。

 身長180センチくらいでちょっと渋めの鼻ヒゲの男性と慎重170センチくらいで見た目どう見ても20代後半くらいにしか見えない女性が入ってきた。

「アイネちゃん、パパとママがいなくて寂しかったでしょ? 今日は思いっきり甘えていいからねぇ」

 男性の方がそう言ってすぐに2人は苦しいくらいに抱きついてきた。

 さっき食べたエビが口から飛び出そうになったぞ。

 とりあえずこの2人が両親だってことは分ったぞ。

「記憶喪失でもパパとママはアイネちゃんのこと大好きだから安心してね」

 今度は王妃様のほうがそう言って僕に頬ずりをしてきた。

 しかし、予想していた人物像とかなりかけ離れているな......

 話しやすそうな人たちでよかったけれども。

「一緒に来た医者は何をしている。はやくアイネちゃんを診察させんか!」

 今更になって威厳がありそうな顔をしだす国王様。

 息を切らしながら白衣を着た中年くらいの男性が入ってきた。

「はぁ......はぁ......では診察をはじめます」

「オイ、貴様アイネちゃんを見て興奮しているな」

 国王様はどこかのヤクザみたいな顔で医師を脅している。

「いえ、これは、はぁ......はぁ......走って疲れたからでして」

「処刑しろ!」

「パパそれはダメ!」

 僕は思わず止めてしまった。

「い、今パパって......記憶がないのにパパだって分かるなんて......さすがアイネちゃんだ!!」

 国王様はまた抱きついてきた。

「パパまず診察してもらうから離れてて」

「うんうん。アイネちゃんが言うなら離れているね」

 国王様が離れると医者が診察を始める。しかしその医者の診断結果は......

「ふむ......原因不明ですね」

「よし、処刑しろ!」

「だからパパそれはダメ!」

 うん、これはあれだ。ただの親馬鹿だな。

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