第20話 余計に恨まれてしまった
「ザックス王子の馬鹿ぁあああ!!」
コロネは走って部屋から出て行った。
「ちょ......コロネさん!! 待ってぇ!」
僕の叫んだ声は虚しくもう部屋からコロネが出て行ったあとだった。
「さあ、私とお見合いを始めましょうか」
ザックスはイケメンスマイルで何事もなかったかのように話し始めた。
「違うでしょーが!! コロネさんを追いかけてきなさい!!」
「え? どういう?」
僕は必死にザックスの背中を押して部屋から追い出そうとする。
「失礼しました。コロネさんはアイネ姫のご友人でしたね。あの言い方はひどかったかもしれませんね」
ザックスは独り言をつぶやいた。
その後、僕の手を両手で握って顔を近づけてきた。
「分りました。私は彼女に謝罪をしてきます」
そう言ってザックスはコロネを追いかけた。
うぅ......相変わらず気持ち悪い。よく我慢したぞ僕......
かろうじで気絶はせずに済んだぞ。
あとは放置すれば2人はいい雰囲気になってザックス殿下はコロネとよろしくやってくれるだろう。
僕は窓の外を眺めながら呟いた。
「2人とも......お幸せにね」
「姫様、何をすべてが終わったかのように満足そうな顔をしていらっしゃるのですか?」
メイド長が後ろに立っていた。
「いや、あとはあの2人に任せればいいかと」
「お見合いはまだ終わってませんよ?」
「......僕も行けばいいんだろう?」
「はい。お連れします」
そう言うとメイド長は僕を肩にかかえて走り出した。
中庭まで出ると2人がそこで話していた。
「......だから、私はアイネ姫と結婚したいと考えているのです。だからあなたとは結婚できません。申し訳ありません」
ザックスがコロネに謝罪をしていた。でもいい雰囲気になってねぇ......
普通こういう場合はその場から逃げて泣いている女性を慰めて「やっぱり君のことが......」みたいな展開が普通だろ?
コロネは僕のことに気づいて近づいてきた。
「私の家の財力さえあればあなたの家を地に落とすことなんて簡単なのよ......覚悟しておきなさい!!」
そう言うとコロネはそのまま帰って行った。
うわぁ......もしかして僕ピンチ?
「姫様、ご安心ください。その可能性はありません」
「どうしてそう思うの?」
僕はメイド長に尋ねた。
「あなた様の家の方が大きいですから」
あーやっぱりそういうところはチート的な感じになるのね。
まあでも事故を装って暗殺とかそういう可能性はあるかもしれないし用心だけはしておこう。
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