第18話 お見合い2週目

 翌日、僕は優雅に食堂で朝食をとっていた。

「本日はザックス殿下とお見合いをしていただきます」

 ザックス......えーと、ああ、あの気持ち悪い人か。

 ってもうお見合いしたじゃん......もうしなくていいでしょ?

「ま、まさかタイムリープしたの!?」

 しかし目の前にアスカがいる。

 ということは時は戻っていないようだ。

「メイド長、ザックス殿下とはもうお見合いしたんじゃない?」

「はい。もちろん記憶しております」

「いやそうじゃなくてもうお見合いしたから会わなくてもよくない?」

「いえ、ザックス殿下のほうからまた会いたいとのことでしたのでお見合いの再設定をさせていただきました」

 余計なことしやがって......

 ん? 何だか外の方が騒がしいぞ。

 メイドたちの叫ぶような声が聞こえるのだ。

「ここね! アイネ姫がいるのは!」

 ドアを開けて入ってきたのはチョココロネの人だった。

 なんだかあの髪をみるとチョココロネが食べたくなった。

「メイド長、チョココロネ食べたいんだけど」

「はい、こちらに用意しております」

 さっとバスケットを用意してチョココロネを差し出した。

 すげぇメイド長......僕の欲しいものをすぐに用意してくれるなんて。

 僕はチョココロネを口にくわえ食べ始める。

「ちょっと何無視してんのよ!!」

 ああ、忘れてたわ.......

「ふぁにふぁほう(何か用)?」

「食べながら話すのをやめなさい」

 僕は口の中にチョココロネをたくさん入れて話していた。

 仕方ないので飲み込んでもう一度質問する。

「何か用?」

「あんたがザックス王子とお見合いするって言うから飛んできたのよ!」

「ふーん」

「ふーんって何よ! あんたちょっとザックス王子に気に入られているから調子に乗っているんじゃないの!?」

 今日のお見合いはなんだか嫌な予感がするな。

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