第17話 やっとお見合い相手がやってきた
「お待たせして申し訳ありません」
しばらくすると白馬に乗った白い服に高貴そうな金色の髪の青年が現れた。
こいつがジークかな?
その青年は白馬から降り僕のもとに駆け寄ると手を握ってきた。
うぇえええ!! 気持ち悪い......
「公務とはいえアイネ姫......あなたのような美しい方をお待たせするなんて僕は何て罪な男なんだ!」
僕にとっては今ジークが手を握っていることこそ罪だ!
「いいえ、あちらの女性がアイネ姫です」
苦し紛れにアスカを指差した。
「え? 私?」
自分を指さして混乱するアスカに唇に人差し指をくっつけてシーっと黙るようにアピールした。
「これはまた御冗談を。あなたがアイネ姫だということは一目見ればわかるさ。あなたのオーラは他の女性とは全く違うじゃないか。一瞬天使と見違えてしまうくらいさ」
ちっ......こんな時にも転生特典の呪われしモテ能力のせいでばれるということか。
「でも安心してくれ。僕がいる限りあなたを危険な目には絶対に合せないさ。なあそうだろう?」
そう言うとそばに控えていた兵士たちが声をそろえて語る。
「「ジーク殿下は戦略家としてもその名は各国に知られており、自身の剣の腕前も敵なしと呼ばれるほど強力であります」」
何言わせてんだこの王子様? 自慢したいのか? そんなにすごいねって褒めて欲しいのか?
ちょっと腹が立ったので嫌味を言ってやることにした。
「でもさっき僕は悪漢に襲われたんですけど。ジーク殿下は助けに来てくれませんでしたよね?」
「な......なんだって!? そこのメイドそれは事実か!?」
アスカは急に話を振られて驚いている。
「え、あ、ハイ!! 事実です!!」
「僕はアイネ姫のためになら死んでもいいと思っていたのに......」
頭を抱えて分かりやすいくらいにショックを受けているジーク。
僕のために死ぬとか重いからやめてよね?
「あ、ごめん......君に出会えた嬉しさでついつい手を握ってしまった。まだ交際も始まってないのに......本当にごめん」
ジークは慌てたように手をばたつかせて、顔を真っ赤にしにしながら深く頭を下げた。
へぇ。他の強引に迫ってくる気持ち悪い男どもよりは好感が持てるね。
でも交際が始まることはないから、僕の手を握るもの今日で最後だよ。
「また会ってくれるかい?」
別れ際にジークからイケメンスマイルで聞かれる。
「もちろんお断り......」
「姫様、少し泥が付いておりますね」
ハンカチで頬のあたりをメイド長が拭き始めた。
「それじゃあまた会えるのを楽しみにしているよ。アイネ姫」
馬を走らせジークと兵士たちが去っていく。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます