第13話 譲れない戦い

 庭で2人が並ぶとカインの方が身長も高いし、カインはロイドみたいに細腕じゃなくてがっしりとした筋肉のある腕をしている。

 オイオイ......誰がどう見てもカインが勝つだろこれ。

「5分だ......お前が5分間そこに立っていることができればお前の勝ち。今日のことは許してやる」

 メイドが持ってきた2本の木剣をカインは受け取り、そのうち1本をロイドに投げた。

 ロイドがそれをキャッチするとカインは話を続ける。

「だが、逆に5分後お前が地面に這いつくばっているようならアイのことは諦めろ。お前にアイを守ることはできない」

 まあ、そういう勝負なら多少ロイドにも勝ち目はあると思うけど。

「そして!! 俺はアイと結婚させてもらうぞ!!」

「ちょっ......人を勝手に景品にするなよ、どっちが勝っても結婚する気はな......」

「姫様、口紅が薄くなっております。塗り直しましょう」

 またもメイド長が僕のセリフを途中で止めやがった。

「おい、時計を用意しろ!!」

 カインのお付きのメイドが時計を見える位置に用意したのを確認するとカインが開始を宣言する。

「いくぞ!!」

 カインがロイドに向けて木剣で振り上げそのまま振り下ろした。

「くっ......」

 ロイドは両手で持ったその木剣で防御するが苦しいようだ。やっぱり力量差は大きいようだ。

 念のため心の中で言うけどロイドが勝っても結婚はするつもりないからね!! 頑張っても意味ないよ!!

 カインは数回の剣撃でついにロイドの木剣を弾き飛ばした。

「どうやら勝負あったようだな」

「いや」

 ロイドは一言つぶやいて時計を指差す。もう5分は経過していたのだ。

「ちっ......約束は守ってやるよ」

 カインはそう言って木剣をその場に捨てて帰って行った。

「いやぁ何とか無事解決しましたね。私のミスのせいで一大事になったらと思うとひやひやしましたよ」

 アスカが嬉しそうにつぶやく。しかし、メイド長から裁きの一言をいただくことになった。

「解雇は見逃して差し上げましたけど、3ヶ月減給としましょうか」

「メイド長!! 減給だけは勘弁してください!! 何でもしますからぁ......」

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