第12話 ダブルブッキング
翌日、僕は朝食のスクランブルエッグをフォークでかき混ぜながらメイド長の話を聞いていた。
「本日1人目のお見合いの相手はカイン殿下になります。カイン殿下は......」
淡々とその人の話について話しているが、スクランブルエッグの火加減が絶妙すぎてそっちのほうに意識が行ってしまう。
「......以上でございます」
話ほとんど聞いてなかったわ。まあ、どんな男だろうと男という時点で正直どうでもいい。
「メイド長!! ロイド殿下がお城に来られたのでお通ししました!!」
アスカがその甲高い声で大声を出したので、寝起きの私の耳には少々きついと感じる。
「アスカ、ロイド殿下が来られたのですか? 本日のお見合いの相手はカイン殿下です。予定を確認しなかったのですか?」
「寝坊したので確認する暇がありませんでした」
「はぁ......やっぱり解雇したほうが良かったでしょうか?」
「メイドちょぉ......お、お慈悲ぉお~!!」
泣きすがるようにメイド長が来ているスカートを引っ張っている。
ロイド殿下ってあのしゃべらない人だろ、置き物のように部屋の片隅にでも座ってもらえばいいんじゃない?
と思っていましたが僕の間違いに気づくのにそう時間はかからなかった。
・・・・・・・・・・・・
「オイ、何でロイドがここにいんだよ。今日は俺がアイとデートの予定だったんだぞ。男が他にいるなんて聞いてねぇんだよ!!」
ロイドを睨みながらカインは分りやすいくらいに怒っているようだ。
というかこの人顔ちょー怖いよ!! 顔に何箇所も傷あるし......暴力団のボスとかやってませんか? 絶対に何人か殺っちゃってるよ!!
まあ僕らの基準で考えても女の子が「こちら私の彼氏です。この人と3人でデートしましょ」みたいに言われたようなもんね。
あ、ちならみに「アイ」っていうのは僕のことを特別な名前で呼びたいってことでそう呼ぶことになった。あだ名みたいなもんだね。
「私は話すのが苦手.......だから他の候補者より何度も会いたかった」
「ほぅ......だから、たまたま、俺のデートの日とかぶった。そう言いたいのか?」
ロイドはコクっと頷いた。
「宣戦布告と受け取らせてもらったぜ。女を守りたいなら剣の腕に自信があるんだろ? 庭でお前の剣の腕前を見せてみろよ」
カインはドアを親指で指差した。
なんだか大変そうなことになったな。とりあえず2人とも頑張れ!! 僕はここで陰ながら応援しているから。
「姫様、行きましょう」
僕の意思は無視されはメイド長に体を肩に抱えられて庭まで運ばれてしまった。
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