第9話 人の話は最後まで聞こうよ
「ガイウス殿下がお見えになりました」
当然のように連続でのお見合いが始まった。
たまには普通の人が来てほしいな。願わくば早めに帰って行って欲しい。
部屋に入ってきた青年は身長が高く、ちょっと不良っぽい怖そうな顔だった。
「俺がガイウスだ。おれと結婚しろアイネ!!」
うわぁ......何かまたキャラ濃い人来たわぁ......
僕は満面の笑みを浮かべて返事をする。
「もちろんお断り......もぐぅ」
メイド長がすかさず、僕の口にケーキを入れた。
というかさっきあんた入口にいたよね? 瞬間移動でもしたの?
「オイ、さっき断るとか聞こえたような気がしたんだけどあり得ねえよな。だってお前は俺の女だろ」
僕はあまりの気持ち悪さに椅子を立ちあがり避ける、しかしガイウスは回避した僕を壁際まで追いかける。
「俺の女だって印つけないとな」
体制的に壁ドンみたいな状態で回避できない。しかもこの男の口臭いぞ!!
「はぁ~うりゃああああ!!」
あまりの気持ち悪さにガイウスのお腹にボディブローを入れてしまった。
「おぐぅっ......」
ガイウスはその場に倒れてしまった。
「あ......すいません。ちょっとやりすぎました」
「へっ......気にすんなよ。女のパンチ何か効くかよ」
といいつつもガイウスは悶絶して動けないでいる。
さすがに自分が原因なのでお前かなり効いてるじゃねえかとは突っ込みは入れられない。
「あ、あはははは......」
苦笑いしかできなかった。
数分後何とかガイウスは立ち上がって自分の足で歩けるようになった。
「強い女っていうのも俺は好きだぜ。次会った時には俺の女にしてやるよ」
「それでは二度と会わなければあなたの女にならな......」
「姫様、お口が汚れております」
メイド長が僕の口をタオルで拭き始めた。
だからメイド長......あんたいったいどこから現れたんだよ!!
この時僕は知らなかったのだが、次のお見合いで僕がさっきガイウスを殴ってしまったことを深く反省することになるのだった。
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