第6話 これが噂に聞く悪役令嬢か

 ――――翌日。

「で、今日は誰とお見合いをすればいいの?」

 どうせ今日も昨日に引き続きお見合いだろと僕は勝手に予想してメイド長に尋ねてみた。

「おはようございます。本日のご予定は他国の令嬢とのお茶会の予定となっております」

「え? ということはお見合いはなし?」

「はい。残念ですが」

 メイド長は顔に手をやり大きなため息をつく。

 ちょっと待て何であんたが残念がるんだよ!!

 とはいえあの面倒なお見合いをしなくて良いというのは気が楽だ。

 お茶会なんて適当にお菓子でも食べてればいいだろ。

 僕はこのときはそう思ってました。



・・・・・・・・・・・・



「......というわけで20人のご令嬢の方々にご挨拶に行ってくださいね」

 お茶会の会場でメイド長にミッションを告げられる。

 なにがということでだ!!

 ついでに言うと女の子と2人きりだと何を話していいのか分りません!!

 1対1でそれも何分間も!! 話なんてできるか!!

「ちょっと、そこのあなた?」

 髪型が......ええっと確かパンの名前......そう、チョココロネみたいな少女が話しかけてきた。

「僕のこと?」

「そうよ。あなたよ」

 気の強そうな人だな。そうだ、女の子は容姿を褒めてあげるといいって聞いたことあるぞ。

「その髪型、おいしそうですね」

「はぁ? あなた何言ってるの?もしかして馬鹿にしているのかしら?」

 ば、馬鹿な......この褒め方はダメなのか!? というか僕は女の子を褒めたことがないから褒め方なんて詳しくないんだ!!

 チョココロネの子にすっごく睨まれている。せ、せめて話題を変えねば......

「馬鹿にしているつもりはなかったんだけどごめんなさい。ところで何か用事があったのでは?」

「わたくしがあなたに声をかけたのはザックス王子様から身を引かせるためよ。もしも手を引かないというのなら今後あなたにどんな不幸があるか分らないわよ」

 チョココロネの子の顔に影が入ってとても悪そうな顔になる。そうか!! この人悪役令嬢ってやつなんだ!!

 というかザックスって誰だっけ? 男の名前は覚える気がないから忘れたよ。

「じゃあザックス王子様から身を引きます」

「な......あなたどういうつもりよ? あれだけザックス王子様をメロメロにしておいて......わたくしのことを罠にはめようとしているのね。いいわ!! 覚えてなさい!!」

 えぇ......身を引くって言ったのに。というかチョココロネ子さん(名乗られてないので勝手に命名)、今後何かしてきそうで怖いな......

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