第3話 気持ち悪さで倒れてしまったわ
気がつくと僕はベッドの上にいた。
「気が付きましたか」
メイド長が看病してくれたようだ。
「あのあと結局どうなったの?」
「姫様、落ち着いてください」
メイド長が真剣な表情で僕を見る。
これはもしかしてザックス殿下は怒って帰ってしまいましたよとか言われるのか?
しかし、それは僕にとっては願ってもいない好機!!
「気にしないで!! お見合いなんてうまくいかないこともあるのは知っているから」
まあ、心の中ではガッツポーズを何度もするほどよろんでますけどね!!
「姫様? 何を言っているのですか? ザックス殿下は大変喜んでおりました。『俺の前であんなに緊張するなんてとてもかわいらしいじゃないか』とおっしゃっておりました」
「何でだよ!?」
ついつい僕は突っ込んでしまった。
「嬉しく......ないのですか!?」
「あ、あははは......まっさかぁ。ついついびっくりしただけだよ」
ここですごく嫌でしたなどと言ってしまうと協力してくれたメイド長たちに申し訳ない。全く嬉しくないけど喜んでおこう。
「わ、わぁーい。う、うれしいなぁ......」
涙が出そうになってきた。
でもこれから嫌われるよう努力すればザックスもいずれ諦めてくれるだろう。
いや待てそう言えば前にアニメとかで見たことあるぞ。
確か異世界転生者って異性にモテるんだよな......最悪のバッドステータスじゃねーかよ!!
もはやこの状況じゃ呪いとしか思えん。
「では次のお見合いの予定ですが」
「え゛? 次のお見合い?」
「そうですよあと9人いらっしゃいます」
ちょっと待てよ。何でそんなにお見合い相手いるんだよ。多すぎるぞ!!
「僕ちょっと体調が悪いのでキャンセルで......」
「キャンセル、できると思いますか?」
メイド長が笑顔で顔を近づけてきた。
「はい......喜んで参加させていただきます」
「よろしい。では着替えさせていただきますね」
「それは1人で」
メイド長が指を鳴らすとどこからかメイドたちが集まってきた。
「に゛ゃぁああああ!! まーたーかぁああああ!!」
またもや僕の抵抗もむなしくメイドたちに着せ替え人形のように着替えさせられた。
僕はこの世界で生きていくためにザックスと残り9人の婚約者候補との結婚を回避しなければならないことを理解したのだった。
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