第2話 男とお見合いする羽目になってしまった
「失礼します。アイネ姫殿下をお連れしました」
無理やり着せられた綺麗な青いドレスは高級な服を着たこともない僕でもわかるほど繊細な作りがされていた。
姫様と呼ばれただけあってこの世界ではかなり高い地位にいることを再確認させられるようだ。
ただ、髪の毛にいろいろな装飾をつけたり、髪を束ねたりされたのはなんだか暑苦しくて変な気分だ。
「これはアイネ姫今日もあなたはお美しい」
そう言って若くて白いタキシードのような服をきた黒髪のイケメンは僕に近づいてきた。
目の前まで来るとそこでひざまづいて僕の右手をとるとそのまま右手の甲にキスをされた。
「うげぇええええ!!」
「アイネ姫今何かおっしゃいましたか?」
あまりにも気持ち悪すぎて声が出てしまった。
「姫様ちょっと......」
メイド長がこっちこっちと合図している。
仕方ないのでそのままメイド長のところに歩いていこうとするが、ヒールのせいでうまく歩けずこけてしまった。
「うぎゃ!!」
なんで女はこんな面倒な靴を履かなきゃいけないんだよ! こっちはヒールなんて履いたことないんだよ!
するとすぐさまメイド長が僕のもとに近づいて来てそのまま体を肩に抱えて部屋のドアに向かう。
というかそれ姫様を運ぶ運び方じゃなーい!!
「ザックス殿下失礼します」
メイド長は部屋を出る際に一礼してそのまま部屋を出て隣の部屋へ入る。
「姫様!! ザックス殿下にうげぇえええはダメですよ。うげぇえええは!!」
「ごめんなさい。つい気持ち悪くて」
「緊張して気持ち悪くのは分りますけど注意してくださいね」
気持ち悪くなった理由はそっちではなくザックスにキスされたせいだけどねとは言えなかった。
「お待たせいたしました」
メイド長と僕はもう一度部屋に戻ってきた。
「姫様、お食事でもいかがでしょうか?」
メイドたちが食事の準備を始める。
そういえばおなか減ってきた。
どんな料理が出るのかな?
僕とザックスのもとに食事が並べられる。
最後にグラスに飲み物が注がれる。
これはお酒だろうか?この世界には未成年は飲んではいけないとかそういう決まりはないのだろうか?
ザックスがグラスを手に取った。
「姫様、これは乾杯の合図ですよ」
メイド長が耳元でこっそり教えてくれた。
僕もグラスを持った。
「君のその美しい瞳に乾杯」
僕に笑顔を向けほほ笑むと、ザックスは軽く僕のグラスに自分の持っているグラスを当て綺麗な音を鳴らした。
パリィイイン!!
僕はあまりの気持ち悪さにグラスを落としてしまう。
「ひ、姫様、ザックス殿下、お怪我はありませんか!?」
周りにいたメイドたちが僕らの様子を心配するように集まってきた。
「もう僕の心は傷だらけです(主に王子の行動によって)」
メイド長に泣きつくように帰りたいオーラで助けを求める。
「本当ですか......?ならせめて私にあなたの傷を癒させてもらえませんか?」
やめろー!! これ以上僕に攻撃をしないでくれ!!
ザックスは僕の顎をくいっと上げて僕を見つめてきた。
「君のことが心配なんです。だからせめて今だけでもそばに居させてください」
ザックス殿下ぁ......鼻毛出てますよぉおおおお!!
生理的に受け付けられない顔が近づいてくる......僕はあまりの気持ち悪さに気絶してしまった。
「「姫様ぁああああ!!」」
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