第2話 入学式
「ユリカ様はこちらです。この部屋には寮で同じ部屋になる生徒が案内されています。到着したら慌ただしくなるので、自己紹介やルール決めなどは済ませておいてくださいね。それでは、良い列車旅を。」
そう言われ通された個室は2人掛けの座席が向かい合わせになっており、小さな折り畳み式のテーブルが壁に備え付けられた簡素な作りだった。
「あら、あなたが同室の方?とりあえず私は荷物をここに置いちゃったから、あなたもここに置きませんか?」
「ありがとうございます。……すごく可愛い…って、いきなりごめんなさい!」
中には既に女の子が座っていた。
──可愛い。すごく可愛い。目の保養。可愛らしい声で耳も幸せ。私ってこんな子と同室になれるの?ラッキーなのでは?!
ゆるふわロングな銀髪に、大きなピンク色の瞳。小柄な身体にニーソで…これが絶対領域か…と、とにかく庇護欲をそそられる感じ。
ホワホワした気持ちで促されるまま座席に腰を落ち着ける。
「ふふ、ありがとうございます。改めまして…私はアシュレイ・リリアナ・シャインバルタです。同室になるのだし、敬語じゃなくてもいいかしら?アシュリーって呼んで!よろしくね!」
「そうね!私はユリカ・ウィンスレット。特にあだ名はないから、呼ぶなら普通にユリカかな?こちらこそよろしく!」
自己紹介を終え、ふと窓に目をやる。
窓の外には雲海が広がっていた。
──まるで飛行機に乗ってるみたい。
「素敵な景色だよね。私ずっとこの魔法列車に乗るのに憧れてたの!」
「うん、本当に素敵。あれ、憧れてたってことは、魔法列車のことは知ってたの?」
「私には5歳上の兄がいてね、今度6年生かしら、同じく魔法学校に通ってるの!兄が入学する時にお見送りしたし、帰省の度にお話を聞いてたから、ずっと私も乗ってみたくて!」
「へぇ、じゃあアシュリーは妹なんだね!私は逆に弟がいるの。えっと…そしたら色々学校のこと聞いても良い?」
それからアシュリーに寮について教えてもらった。
まず最初は4人部屋で、2年間毎に部屋替えが行われるらしい。まず1年生2人と3年生2人で組み、3年生になると1年生と組む。5年生になると1人部屋が与えられるらしい。
ちなみに同学年のペアは、仲が良いと6年間同じ可能性もあるらしい。
──この子と、ずっと同室でいられたらいいなぁ
「ユリカとなら楽しい学生生活になりそう!」
益々楽しみで胸が膨らんだ。
*
しばらくして列車がとまった。
「新入生は荷物を持ってこちらへ!」
「名前を呼ばれたペアから先輩について行くように。」
そうして私たちを呼んでくれた先輩2人に、簡単に自己紹介してからついていった。
そばかすに眼鏡して明るい茶髪三つ編みの大人しそうなサリィ先輩と、金髪ポニーテールで元気いっぱいそうなミント先輩。2人は正反対に見えるが、去年までも同室だったそうで仲が良いらしい。
「私たちの部屋はここよ。荷解きしながら、ひと通り部屋の中と寮でのルールを説明しましょうか。これからよろしくね!」
その後も目まぐるしく説明を受け、次の日もひたすら案内で学校中を連れ回され、緊張と移動疲れもあり泥のように眠ったのだった。
入学式当日、クラスが発表され私とアシュリーは同じクラスになれた。
校長先生の話はやっぱり長かったが、要約するとこうだ。
──最初の2年間で一般教養を学ぶ
──3年次から文系理系に分かれる
──5年次から専門分野毎に分かれる
──制服は学校の看板を背負ってることに等しいため、恥じない行動をとるように
こうして、ソレイユ魔法学校での生活が始まった。
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