第14話 暗雲

加奈さん

スーパーのアルバイトのほうは順調かな


アルバイトは楽しいけど

辛いです


何が辛いの

力仕事がなかなか上手くできなくて


そうか

大丈夫かな


はい


でも、今の生活が幸せですから

頑張れます



スーパーにて


瀬波さん

あまり無理しないでいいよ


ありがとうございます

松下さん


そんなに白い細い腕じゃ重いものは大変だろ


いえ

大丈夫です


そうか


はい

今がとても幸せですから


そうなんだね

僕も小さな子供がいて

会社が倒産したんだけどさ

ここでアルバイトできて良かったよ

お互い、頑張ろう


はい

よいしょ

よいしょ


瀬波さん


どうしました

店長


今日、新聞で見たんだけど

まさか、瀬波財閥のお嬢様に似ているし

今、行方不明らしいんだよ

まさか、君じゃないよね


いえ・・・


よかったね

店長


ああ、山田さん

もし、そうだったら

僕の首は飛ぶよ


下手すれば命もないかもよ


やめろよ

洒落にならないことを


瀬波さん

本当に違うんだね


はい・・・


優一さん


どうしたの

加奈さん


実はアルバイトをしているスーパーで

瀬波財閥の娘ではないかと

言われて


なに


どうしましょう

私は嘘をついてしまいました

私が行方不明になっているとの

騒ぎまでなっているみたいで


困ったなあ

そこまで大事になっているのか


でも、私は頑張ります


名前でばれないかな


そうなんです

本名で書きましたから



翌日


瀬波さん

話があるんだけど


どうしましたか

本当に瀬波財閥のお嬢様じゃないんだね


はい・・・


名前は同姓同名かもしれないけど

新聞に載っている顔と同じだよ


いえ、違います・・・


そうか、それならよかった

そういえば、山田さん

今日、入った新しいレジは操作が難しいね


そうですね

店長、私も機械は弱いの


僕もなんだ

加奈さんはわかるかな


はい、ちょっと見てみます

これは、こうしてこうします


おお、すごい

よくわかるね


小さい頃から電子情報について教わっていたので


ところで、履歴書をまだもらってなかったけど

どこの大学をでているの


東京大学です


ええ


はい・・・


加奈さん

今日はもう帰っていいよ


どうしてですか


いいから


わかりました


山田さん

瀬波財閥のお嬢様に違いないよ


そうよね

どうみてもそうよ


どうするか

瀬波さんのお父さんは評論家で有名だし

国政までにも影響をもっているらしいからな


そうですよ

店長、どうしますか


すぐ、瀬波財閥に連絡しないと


そうです

その方がいいです


そうだな



もしもし


はい、瀬波ですが


突然で申し訳ありませんが


私は沖縄の小さなスーパーをしている店長の外山といいまして

うちの店にお嬢様にとても似た方がいらっしゃるのです

名前も同じです


顔はどうなんだ

新聞と全く同じです


そうか

教えてくれてありがとう

必ず、お礼をするよ


いえ、結構です


いや、私の気がすまん


プルルル

はい、佐藤です


佐藤か


瀬波様

どうされましたか


実は加奈の居場所がわかった


そうですか


ここだ


わかりました

すぐ対応いたします


丁重に対応いたしますので


頼むぞ


わかりました



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