第6話 酔うものとは

しまったな、また連絡先を聞いていなかった

そうか大学の校門で会えるか

来た


加奈さん


優一さん


ここじゃないかと思っていたよ

連絡先を教えるから

今度からここに連絡をして


はい


家に連絡しても差し支えないから

加奈さんの家の電話番号も教えて


私の家は父が厳しくて

電話は難しいと思います


わかった

今日は時間があいていない


大丈夫です


じゃあどこか行こうか


はい、行きたいです


どこに行きたい


お酒を飲みに行ったことがなくて

居酒屋に行ってみたいです


じゃあ僕がよく行く居酒屋と

バーに行ってみようか

加奈さんはどういうものが食べたい


私はフランス料理が好きです


う~ん

このあたりにフランス料理がある居酒屋はないな・・・


優一さんにおまかせいたしますので

楽しみです


ここがその店だよ

中に入ろうか


はい


加奈さんは何を飲むかな


私はわからないので

優一さんが選んでください


とりあえず生を飲もうか


生って何ですか


ビールのこと

加奈さんビール飲める


お酒は全く飲んだことはありません

それに門限もあります

9時までに帰らないといけないです

そのくらい父が厳しくて


じゃあ、今から2時間だね

ここで1時間

バーで1時間かな

加奈さんちょうどいいかも

お酒を飲むのは初めてだからね

とりあえず生を二つお願いします

乾杯しようか


はい


乾杯


ドキドキします


どう、飲んでみて


苦いです

すみません

砂糖やハチミツはないですか


お客さん、どうぞ


え、何をするの


ビールに混ぜます


ビールに砂糖に砂糖はいれないよ

ハハハハ


そうなんですか

やっぱり苦いです


最初は苦いよ

それからだんだん慣れてくるから


そうなんですね


うん


じゃあ、ビールもきたし

何か食べよう


居酒屋でお勧めのものはありますか


そうだね

串焼きかな


はい、それでお願いします

優一さんが食べるものなら

何でもいいです


すみません

串の盛り合わせをください

ほら、来たよ

レバー、ねぎま、いろいろあるよ

これがビールに合うんだ


そうなんですね


加奈さん、美味しいかな


はい


後は何を食べる


優一さんひとつお願いがあります

鍋料理が食べたいです

以前お話しましたとおり

父と母が仲が悪くて

鍋料理を食べた記憶がありません

鍋料理といえば家族全員で食べる印象がありますよね

母に鍋料理を作ってもらって父と一緒に食べたかったです

優一さん、今日だけ家族になっていただけませんか


もちろん、僕でよければ

ちゃんこ鍋にしよう

さっそく食べようか


はい


僕は最後のおじやが好きなんだ


美味しそうですね


加奈さんは得意な料理は何


今は秘密です


ええ、何それ


将来、私の夢が叶えば教えてあげます

こんなに楽しく食べたのは

初めてです


今度はバーに行こうか


はい


ちょうど9時だ急がないとな

ここだよ


お洒落ですね


ここはビリヤードにダーツがあるんだ

でも、あと1時間か

できるかな


父に帰宅を10時までお願いしてみます


加奈さん大丈夫


あとで、父の肩を揉んであげます

父は私に甘いから

すぐ許してくれます

でも10時が精一杯です


2時間か加奈さんがどれだけ

お酒が強いかにもよるな

僕は強いから大丈夫だけど


優一さんは何を飲まれるのですか


僕はブランデーのロックかな


強いお酒なのですか


そうだよ

あとで少し飲んでみる


はい


加奈さんは何を飲む


私は甘いお酒がいいです


じゃあ、カクテルかな

マスター

ウイスキーのロックと

オレンジ系の甘いカクテルをお願いします


乾杯


美味しいかな


お酒みたいな味がします


それはお酒だからだよ

ハハハハ


そうですね

でも、すぐ酔ってしまいそう

ポワーンとします

これが酔っていることなのかもしれないですね


そうだね


そういえば、ブランデーのロックを飲んでみる


はい、飲んでみたいです


じゃあ、ほら


辛くて飲めないです


そうだろう


優一さんそんなに飲まれて大丈夫ですか


ああ・・・


じゃあ、ビリヤードしよう


優一さん足元がふらついていますよ

大丈夫ですか


ああ・・・

大丈夫だよ・・・

ビリヤードのルールはね

4隅に穴があるよね

あそこに

真ん中の玉の集まりをたたいて

穴に入れるんだ

どれだけ多く入れるかが勝負みたいだよ


そうなんですね


じゃあ、やってみるよ

あれ、玉に当たらなかった

じゃあもう一回

あれ


大丈夫ですか

やっぱり、足元がふらついていますよ


大丈夫だよ

じゃあ次はダーツね

ダーツは円盤みたいなのがあるよね

あの円盤の中心に当てればいいみたいだよ

それでこうやって野球の玉を投げるように

振りかぶって投げるんだ


そうなんですね


じゃあ、僕から

あれ、的に当たらなかった

もう一回

あれ、おかしいな


私もやってみたいです


あ、真ん中に

え、すごい

そんなに簡単に投げて


もう一回やってみます


また真ん中に

すごい


優一さん危ないです

倒れそうですよ

10時前だし帰りましょう


わかった


優一さん、優一さん

大丈夫ですか


うん、眠くなって


タクシーを呼びますから

ちょっと待っていてください

宮田さん

私の友達が酔っているみたいなの

バーに迎えに来てください


お嬢様、お父様にわかったら

大変な事になりますよ


だから宮田さんにお願いしたの

早く迎えに来て

お願いね


わかりました

急いで行きます


2階のソファに寝ていらっしゃて

マスターにもお手伝いをお願いしています

2人で車に乗せてください

優一さん自宅はどちらですか


優一さんしっかりしてください


あ・・・・・

運転手さん、そこを右にわたって・・・

1キロほど行ったところにあります・・・・

古くて小さい家です


お客様、こちらですか


はい、そうです


宮田さん後は大丈夫ですから

車に乗ってらっしゃて下さい


優一さん着きましたよ

優一さん


ああ

どうしたの


ほっぺにキスしましたよ

この間のお返しです


え、やった酔いが覚めた


1回だけですよ


うん

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