第32話 知らない世界


 あんな事やこんな事があったので、今日はお盆だけどお墓参りは中止になった。

 という訳で、ハナの部屋でゆっくりする予定。

 

「そういえば夏休みが終わったら── 」


 私が喋っている途中、不意にハナから抱きつかれる。

 勢いそのままに、ベッドに倒れ込んだ。


「ハナ……?」


「ナツ、もうひょっとこ取ってもいい?」


 そう、私はまだひょっとこナツちゃんのままである。

 それもそのハズ。だって──


「もうちょっとこのままで……あっ!!」


 剥ぎ取られるひょっとこナツちゃん。

 ありのままである。


「ハナ……私、目腫れてない? 変な顔してない?」


「……」


 ハナは何も言わず、ただひたすらに見つめてくる。

 徐々に顔が赤くなっていく感覚。


 両手を押さえつけられ、上から覆いかぶさるようにキスをされる。


 まるで襲われているような……


 足をバタつかせるが、多幸感からかその足も静かになる。


 それから30分程、ハナとキスを交わした。

 こんなに長いキスは初めてで……


「ハナ……」


「足りない」


「えっ?」


【延長入りまーす(;゜∀゜)=3ハァハァ】


 30分延長。


「ハナ……ちょっと休憩を……」


「……ダメ。ナツ、私以外の人に抱きついたでしょ」


「いや、あれは……」


「言い訳しないの。お仕置きだよ」


 お仕置き……

 その言葉に、私は少しだけゾクゾクしてしまう。


【お主もMよのう】


 うん……まぁ……ね?


「ナツは私だけのものなんだから。他の人に付いていっちゃダメだよ?」


 子供じゃないんだから……

 でも……


「……はい。ごめんなさい」


 愛されているのが嬉しくて……

 首輪をつけられるのも、嫌いじゃない。

 虐げられたかのような目をして、謝罪する。


「わー……なんだかゾクゾクしちゃう。私ってSなのかな……」


「確かめてみる?」


「えっ?」


 自分の両手を歯を使いながら長めのタオルで縛る。

 余った分はなんとなくベッドに括りつけた。


「ハナ以外の人に抱きついてしまってごめんなさい。二度としません……いけない私に、お仕置きして下さい……」


【ナッチ可愛ぇー♡】


 ハナは昂ぶってるみたい。

 これから自分がされる事を想像すると、色々と溢れてくる。

 これは……ヤバいやつだ……


「ナツ……私ヤバいよ……こんなに興奮してるの初めて」


 女の子になって体験した事、出来た事。

 こんなにも刺激的で、官能的で。


「ダメ、逃げないで」


「ハァハァ……もう……無理……」


 まだまだ、知らない世界がいっぱい。

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