第18話 行ってきます


「もうすぐだね♪」


「ん? 何かあったっけ?」


「ふふっ♪ 夏休みなのだ!!」


 なのだ……可愛い……


【萌キュン♡】


「あのさ、ちょっと遠出したいなーとか……思っちゃったり……その……」


「……旅行?」


「……」


 顔を赤くしてコクコクと頷く。

 親指同士をクルクルと回すその姿に、思わずこちらまで……


「あははっ、照れちゃうね」


「……いっぱい手、繋ごうね」


 鼻血でちゃいそう。


【こうかは ばつぐんだ!】


 ◇  ◇  ◇


 授業は終わり、帰り際のカフェデート。

 デートね……いい響きだ。


「あんまり遠くだと困るかなぁ……ナツはどこに行きたい?」


「私は……ハナといられればそれで良いよ、なんてね」


「ナツ……くっついていい?」


「うん、おいで」


 向かい合った席から隣に移り、ハナと密着する。

 相変わらずのいい匂い。


「せっかくだから恋人っぽい所に行きたいなー……へへっ♪」


「……じゃあさ、ここにしない? 恋人岬だって」


「わー……行く!! ここに行く!!」


 可愛いな、ホント。

 もうこの笑顔無しじゃ生けていけないな。


「あ、ここの宿なら空いてるよ。部屋の中に温泉があるんだって」


「入るー! ナツと温泉♪」


「2泊しちゃおっか。予約……完了」


 この前おじいちゃんからお小遣い(給料二ヶ月分程)を貰ったので、さっそく豪遊する。

 まぁこれはハナの為でもあるし?


「へへっ♪ ニヤニヤしちゃう。ナツ大好き」


 ほっぺにキスを貰う。

 照れ隠しにコーヒーを一気飲み。

 あー駄目だ、幸せすぎる。


「ふふっ、愛の逃避行ってやつだね」


「そんな言葉どこで覚えたの……」

 

 ◇  ◇  ◇


【さぁ夏休み当日だ!!やらいでか!!】


 邪魔しないでよ?


【ヽ(•̀ω•́ )ゝ】


 やだやだ……


「ナツ、準備オッケーだよ。早く早く!!」


「はいはい、忘れ物ないね?じゃあ行こっか」


「ナツ、ん……」


 目を瞑るハナ。

 今日は一段と可愛い。


【いやいやお主も負けておらんよ】


 恋する乙女ですから。


「行ってらっしゃい、ハナ── 」


「ふふっ♪ 行ってきます── 」


 お互いにキスをして。

 行ってきます。

 

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