第17話 どこまでも


「ハァハァ……ハァハァ……」


 逃げなきゃ。身体を動かさなきゃ。


「イヤッ!! やめてっ!!!」


「うるせぇ!!! 黙ってろ!!!」

 

 なんで、なんでこんな事に。


「夏、逃げて!!」


 本当にこれでいいの?



《少女5人と── 含む── が保護され──── 》




「キミがやったのかい?」



 私は……


 ◇  ◇  ◇


「っ!!? またか……」


 最近毎日の様に夢を見る。

 それは夏ちゃんの記憶。

 

 夏ちゃんは何か事件に巻き込まれたんだろう。

 そこで夏ちゃんは……

 いや、夏ちゃんに限ってそんな事……


 ……俺にどうしろって言うんだよ。

 仮に事件があったとして、夏ちゃんは逮捕されていないわけだし。

 生活する分には問題無いハズだよな……


「ナツー……zzz」


 ……もし真実を知ったら、ハナと一緒にいられるのかな。

 ハナは一緒にいてくれるのかな。


 ……甘えちゃダメだよな。

 全てを知る必要がある。


 知った上でハナと……

 あれ?これって……


【いいよぉ、おじさん嬉しいよぉ】


 出たな蛆虫め。


【とうとう元に戻る事を諦めたか】


 いや、そんなつもりじゃ……


【あの少女はお主無しではもう生きてはいけないぞ?】


 まぁ、それは……


【JC同士。んほぉ〜たまんねぇ〜】


 何が言いたいんだよ。


【時が来れば必ず導かれる。今無理に真実を知る必要はあるまい】


 でもハナに隠し事をしているみたいで……


【元男っていう秘密隠してる癖に】


 うっ……


【よいか? お主は女、JCじゃ。秘蜜の初蜜、それ濃蜜。これぞ三蜜】


 こいつは一体何言ってるんだ?


 ……おかけで悩んでた自分がアホらしくなってきたよ。


【分かったら寝るがよい。明日も学校だ】


 そうだね、そうするよ。


 ◇  ◇  ◇


「ナツ、おはよー♪」


「うん、おはよ」


「昨日うなされてたけど……また嫌な夢見ちゃったの?」


「んー……大丈夫」


「……私ね、ナツに何かあっても……ずっと味方だから。天国も地獄もナツとだったらへっちゃらだよ♪」


 その言葉と、その笑顔で。

 肩の重荷がスッと落ちた気がした。


「私も……ハナとだったら、どこまででも行けそうな気がするよ」


「へへっ♪」


 行き着く先に何が待つのか。

 天も地も、二人でなら。


「ナツ、腕組んで行こ?」


「うん、今日はどこまで?」


「……どこまでも♪ ほら、行こっ!!」


 どこまでも。

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