【夫婦恋愛】りかこ(36歳・モデル兼主婦)~BABAのアタシを抱きしめて

佐伯達男

りかこ(36歳・モデル兼主婦)~BABAのアタシを抱きしめて

時は、2015年11月22日の午後2時過ぎであった…


場所は、大船(鎌倉市)にあるフォトスタジオにて…


スタジオでは、新発売の薬用入浴剤のCMの撮影が行われていた。


アタシ・りかこ(36歳・モデル兼主婦)は、CMで共演する子役タレントのA子ちゃん(6歳)と一緒にディレクターチェアに座っていた。


この時、A子ちゃんはアタシにボソッと言うた。


「あんたの着ていたババシャツの色は、ババくさいわねぇ…」


ムカッ!!


何なのよ一体!!


アタシは、6歳の子役タレント…いいえ、超売れっ子の子役タレントからどぎつい言葉を言われた。


それが原因で、仕事が思うようにできなかった。


撮影スタッフさんが『もっといい顔をして…』とアタシに言うた。


けれど、自然体の笑顔になれなかった。


そう言うことは、夫婦生活に現れていた。


アタシとダンナ(46歳・経理事務)は、3年前にダンナの職場の上司からの紹介でお見合いをして、1ヶ月後に入籍した。


結婚してから2年半頃までは、ダンナはどんなに忙しくてもアタシを抱いてくれた…


夫婦の夜の営みは、アタシが終始受け身でダンナがアタシの身体をむさぼると言う形であった。


3年目に入ったあたりから、ダンナは『しんどい』とか『寝たい』とか『朝が早いのだよ…』と言うて、すぐに寝てしまうことが多くなった。


同時に、アタシを『おい』『こら』『そこ』と呼ぶようになった。


夫婦間で、気だるい気持ちが目立つようになった。


CM撮影がうまく行かなかった日の夜11時過ぎであった。


アタシとダンナが寝ている家の寝室にて…


ダンナに抱かれたくて気持ちがウズウズとしていたアタシは、ダンナが寝ているふとんにもぐり込んで、ダンナの身体に抱きついた。


「ねえあなた…あなた…」

「なんだよおい…」

「あなた…お願い…アタシを抱いてよぉ…」

「オレは明日早いのだよぉ…」

「やだ!!ガマンできない!!」

「はあ…しょうがないな…」


ダンナは『仕方ないなぁ…』とつぶやきながらアタシの身体に抱きついた。


そして、アタシが着ているパジャマの上のボタンを全部外して開いて、ふくよかな乳房を包んでいるナイトブラを下から押し上げた。


ダンナは、約120分間に渡ってふくよかな乳房をむさぼった後にすぐに寝た。


つまんない…


ふくよかな乳房をむさぼるだけで終わりだなんて…


さみしいよぉ…


11月23日の朝であった。


大きめのブリヂストンのロゴ入りのゴルフバッグを持ち上げたダンナは、アタシに『今日は会議だから…』と突き放す声で言うたあと、アタシに背を向けて家を出た。


この最近、ダンナは休日ごとに上司からのさそいでゴルフに行くことが多くなった。


ますます悲しくなったアタシは、ひとりぼっちで鎌倉市内へ遊びに行った。


ところ変わって、鶴岡八幡宮の参道沿いにあるランジェリーショップにて…


アタシは、ショウウィンドウにかざられているピンク色のかわいいBABAシャツとかショーツのセットを見た。


この時、昨日A子ちゃんから言われたどぎつい言葉を思い出した。


同時に、アタシはダンナのどこにほれたのかと思った。


アタシとダンナが結婚して3年目に入った日の夜だった。


アタシは、ダンナにふりむいてほしい気持ちでいっぱいだった。


ランジェリーのモデルをしていた時にしていたセクシーポーズで、ダンナをユウワクした。


家の居間で、ひとりで酒をのんでいるダンナの前でアタシは白のブラウスのボタンを上から3つはずして、ベージュのBABAシャツをちらりと見せた。


しかし、ダンナはアタシに目を向けなかった。


だからアタシは、ブラウスのボタンを全部はずして広げて、ベージュのBABAシャツを見せた。


だけど、ダンナはアタシに目を向けなかった。


アタシは、クリーム色のスカートをまくりあげた。


ショーツが見えるギリギリまでまくり上げて、セクシーポーズを取った。


けれど、ダンナはアタシにボソッと言うた。


「おい、そこで何しているんだ…」


ショックぅ…


アタシを『おい』と呼ぶの?


ダンナは、この時からアタシを『おい』『こら』『そこ』と言うようになった。


お願いだから、名前で呼んでよ…


アタシは、ダンナに恋する女の子になろうと決意して、あれこれと努力した。


読んでいる雑誌をティーン雑誌に変更して、ファッションの研究をした。


そして、3ヶ月前の8月の第3日曜日にダンナと横浜の山下公園へデートに行った。


ムードがのって来た時、ダンナがアタシが着ているタイツの色で呼んだあと『足元のタイツの色が派手すぎる…』と言うた。


ムードがシラけたと同時に、アタシのプライドがズタズタに傷ついた。


ダンナは、アタシを呼ぶとき『おい』『こら』『そこ』に加えて、足元のタイツの色で呼ぶなどした。


だからアタシは『結婚するのじゃなかった…』と思うようになった。


アタシ…


選択ミスしたかもしれない…


結婚以外にも、生き方はたくさんあったのに…


午後2時過ぎのことだった。


悲しくなったアタシは、家に帰ることにした。


参道沿いの商店街を出たアタシは、人通りが極力少ない通りをひとりぼっちで歩いていた。


その時であった。


ふたりの若い男が突然現れて、アタシになれなれしく声をかけて来た。


「ねえちゃん…ひとり?」

「えっ?」

「よかったら、おれたちと一緒に遊びに行かない?」


怖くなったアタシは、その場から逃げ出そうとした。


けれど、ふたりの若い男はアタシの腕をつかんで近くの雑木林へ無理やり連れて行った。


ところ変わって、近くの雑木林にて…


「イヤ!!やめて!!やめて!!」


ふたりの若い男は、アタシを倒して身体を押さえつけた。


アタシの脚を押さえつけている男は、スカートをくしゃくしゃにしながらショーツが見えるギリギリまであげた。


「イヤ、イヤ、イヤ、イヤ…やめてやめてやめてやめてやめてやめてー」


腕を押さえつけている男は、アタシが着ていた青紫色のカーディガンを無理やり脱がした。


アタシの脚を押さえつけている男は、白のブラウスを思い切り破いた。


(ビリビリビリ!!)


「イヤァァァァァァァァァァァァ!!」


若い男ふたりは、ブラウスの下に着ているベージュのBABAシャツを見て『ババくせぇ…また失敗した…』と言うた。


(ガツーン!!)


若い男ふたりから『ババくせぇ…』と言われてブチ切れたアタシは、金具のついた靴さきで男のまたくらをけとばして起きあがった。


「ギャー!!」

「あんたたち!!アタシも犯して逃げようとしたから許さないわよ!!」


アタシは、若い男ふたりにより激しい力を込めて平手打ちで往復ビンタを喰らわせたあと、金具のついたくつで男をボコボコにけとばした。


若い男ふたりは、女々しい声で泣きながら敗走した。


何なのよ一体!!


アタシのことを犯した上に『ババくせぇ…』と言って逃げようとしたから、天罰よ!!


その日の夕方、アタシはJRと江ノ電の鎌倉駅の南口の広場に行った。


広場のベンチでひとりぼっちで座っているアタシは、くすんくすんと泣いている。


そこへ、ダンナがアタシのもとへやってきた。


「りかこ…りかこ…」

「くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…」

「りかこ…」

「くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…」

「りかこ…りかこ…」

「くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…アタシ…悲しい…くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…」

「りかこ…」

「くすんくすんくすんくすん…ねえ…どうして…どうしてアタシのことを名前で呼ばないの…どうしてアタシを『おい』『こら』『そこ』で呼ぶの…どうして、足元のタイツの色で呼ぶの…くすんくすんくすんくすん…」

「りかこ…」

「アタシ…36歳でも…女のコよ…あなたに恋する女のコなのに…名前で呼んでほしいのに……くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」


ダンナは、困った表情でアタシを名前で呼ぶことができなかった理由を伝えた。


「りかこ…ごめんね…ごめんね…仕事のことで頭が一杯になって、からだがしんどかったり…気持ちがのらない時が多かった…気がついたら…りかこのことを…『おい』『こら』『そこ』とか足元のタイツの色で呼んでいた…りかこ…りかこ…ごめんね…りかこ…」


アタシは、ダンナの胸に抱きついて泣いた。


「りかこ…」

「くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…あなた…くすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすん…アタシのことを名前で呼んでよ…アタシのことをいっぱい愛してよ…アタシは…あなたに恋する女のコよ…くすんくすんくすんくすん…」

「りかこ…ごめんね…」


ダンナは、くすんくすんと泣いているアタシを両手でぎゅっと抱きしめながら、髪の毛を優しくなでた。


その日の夜であった。


家の寝室にて…


アタシとダンナは、敷きふとんで抱き合っている。


腰にタオルを巻いているダンナは、ベージュのBABAシャツとショーツ姿のアタシを抱きしめて、髪の毛を優しくなでながらキスをしている。


(ドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…)


ダンナに抱かれているアタシの乳房(むね)の奥で、激しい鼓動が高鳴っていた。


ダンナとアタシは、激しく舌をからませていた。


激しいタンキスのあと、ダンナはアタシをゆっくりとふとんにねかせた。


そして…


「りかこ…オレだけのりかこ…」

「あなた…ああ…」


ダンナは、アタシが着ていたベージュのBABAシャツを脱がした。


つづいて、BABAシャツとおそろいのショーツを脱がした。


つづいて、ダンナは腰に巻いていたタオルを取った。


「りかこ…」

「あなた…あっ…」


ダンナは、アタシのふくよかな乳房に抱きついて甘えた。


約120分間アタシのふくよかな乳房に甘えていたダンナは、アタシの身体(からだ)をキスでむさぼった。


そして、次の日の朝…


アタシが目をさました時、ダンナは寝室にいなかった。


アタシの枕元に、小さなプレゼント箱と手紙が置かれていた。


アタシは、プレゼント箱に添えられていた手紙を読んだ。


りかこへ…


りかこ…


きのうまで、名前で呼ぶことができずにごめんね…


りかこ…


オレだけのりかこ…


大好きだよ…


アタシは、手紙を読んだ後に小さなプレゼントの箱を開けた。


箱の中に、ピンク色でかわいいフリルがついているBABAシャツとおそろいのショーツのセットが入っていた。


うれしい…


うれしい…


あなた…


ありがとう…


りかこ…


あなたに会えてよかった…

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