第2話 許可を貰えました
パーティーが終わった翌日に私とアリスは、国王の執務室に呼ばれました。
アホな私の元婚約者に巻き込まれてしまっただけとなのに男爵令嬢であるアリスがロイナール男爵夫妻と登城して国王の執務室に案内されてきました。
男爵夫妻もですが入ってきたアリスは男爵夫妻より不安そうな顔をされてますね。
巻き込まれただけとは言え、騒動の関係者ですから仕方ない事なので、どうしようもないですね。
悪いようにはならないでしょうから安心してくださいアリス。
もしアリスにも問題があるなら元婚約者たちと一緒に牢に連れていかれてはずですからね。
「ロイナール男爵、男爵夫人、アリス嬢、登城してもらってすまないな。 不安そうな顔をされなくて大丈夫だ。アリス嬢を咎めるようなことではないからな。」
「「「……はい。国王陛下」」」」
何とか返事をされましたが、まだ不安そうですね。
仕方がないですが、アリスの前にいるのは、王族である国王陛下はじめ王妃殿下、王太子殿下、第二王子、第一王女である私、貴族の最上位である公爵の爵位を持つ王弟である宰相、近衛騎士団長、魔法師団長なのですから下位貴族の男爵の令嬢であるアリスは不安や緊張が尋常じゃないでしょう。
私も同じ立場ならアリスと同じだったでしょう。
「話をするので席に座ってくれるかな。」
「はい。かしこまりました。」
男爵がそう言って、三人とも座られました。
そして国王陛下が話し始めました。
「先ほども言ったが、アリス嬢を処罰することもロイナール男爵家を処罰することもない。
公爵令息をはじめ、上位貴族の令息に男爵令嬢が強く出られるわけもないし、あやつらは人の話を聞けない上に自分たちが正しいという考えの常識のない者だったから誰が言っても無理だっただろうしな。」
「他の兄弟はまともなのだか、私の教育が間違っていたとしか言えない。ロイナール男爵家には大変な迷惑をかけてしまった。申し訳なかった。」
「わかりましたから、ど……どうか頭をおあげください。」
叔父である宰相が話された後、宰相、近衛騎士団長、魔法師団長のお三方が頭を下げて謝罪されました。
それに対して、恐縮した感じでロイナール男爵がお三方に頭をあげてくれるように言われました。
これで男爵家に関しては一応話は終わりみたいですね。
次は私の番ですかね。
そんなことを思っていると国王陛下にいきなり名前を呼ばれました。
「マリン。」
「はい。」
「婚約破棄となったわけだが、新たに婚約者を探すか。」
「いいえ。しばらくは婚約はしません。それでお願いがあるのですが、私は小さい頃から冒険者になりたいと思ってました。
騎士団で騎士と一緒に剣技も学び、隣国に留学して魔法も学んできたのもそのためです。
なので、王族籍を抜いていただき、平民となり冒険者となりたいと思っております。」
「「「「「それはダメだ(です)」」」」」
私の気持ちを話したら、父と母だけでなく、兄と弟、それに叔父にダメと言われてしまいました。
「マリンが冒険者になりたいと思っていた事もその為に学び、努力してきた事も知っているだから冒険者になることは、私は許してもいいと思っている。
だが王族籍と王位継承権は残したままだ。抜くことは許さぬ。」
「国王陛下、マリンに嫌われたくないからと私はを強調して言わなくてもいいではないですか。
それでは、私や王妃殿下や第二王子が反対しているように聞こえます。」
「間違ってないと思うが」
「……」
父の言い方に兄が反論されましたが、父もはじめは反対してましたが、留学が決まった頃から許してもいいかなって感じになってましたが、他の家族は反対していると感じていたので、父の言うことは間違ってないと思います。
なので、兄も何も答えられませんでした。
「それは、冒険者は危険だからですわ。どんなに実力があっても死ぬことがあるのです。私の一番下の弟がそうだったように……」
母が反対している理由はわかってました。
母は、侯爵令嬢で兄が二人、弟が二人の五人兄妹で母の一番下の弟、私にとっては母方の叔父は、姉である母は当時王太子だった父の婚約者に決まっており、上に兄が三人もいたので、侯爵家を継ぐ事は出来ないと思っていたので、魔法の才能もあったから冒険者になり、私が生まれた頃にはSランク冒険者として活躍されていました。
幼かった私が冒険者を目指すきっかけになった人物であり、尊敬し、目標としていた人物です。
叔父は、スタンピードが発生し、王国に大量に迫ってくる魔物から王国を護るために戦い護りきった後、魔物から受けた攻撃でおった怪我がもとで亡くなってしまわれたのです。
もう家族をなくすというそんな辛い思いはしたくないと思っているからこそ反対されているのです。
父が始め反対していたのも愛する母のそんな気持ちをわかっていたからです。
私も叔父の死を聞いた時は辛かったですが、魔物から国を護ったということで更に尊敬しました。
そのスタンピードで戦死した多くの騎士や冒険者の名を刻んだ石碑が王国が見渡せる丘に建てられています。
参加者名簿が残されているので、生き残った参加した騎士や冒険者も亡くなると新たに石碑に名が刻まれるようになってます。
「だけどいつまでも過去を引きずっていてはダメですね。弟たちは、魔物の脅威からローズナイト王国を護ってくれた英雄なのですから、それに娘の意思も固いようですし、私も冒険者になることは認めます。
マリンの頑固なところは誰に似たのでしょうか。困ったものです……」
母は最後の言葉を言いながらあなたに似たのでしょうねと言いたげに困ったものだと父の方を見ました。父だけでなく、母も頑固なところがあるので、お二人両方に似たのだと私は思います。
そんな事を思っていたら、父を見ていた母が何か言いたいことでもあるのですかと言いたげに私の方を
目が笑っていない笑顔で見ながら言ってきました。
「マリン、私にも頑固なところがあると思ってたりしませんよね。」
「……そんな事思ってません……」
ドキッとしましたが、何とか否定の返事ができました。
母は人の心の声が聞こえるのでしょうか。よくこういう事があるのです……
「ああ、いつも言っていますが、私は人の心の声は聞こえませんよ。
そんなことが出来たら苦労はしませんが、うるさくってたまりませんからね。」
「そうですね。」
父をはじめ、兄、弟、宰相、騎士団長、魔法師団長も母が心の声が聞こえるのではないのかと思い当たるところがあるのでしょう。
微妙な顔をされています。
「はい。ですからこれは単なる女のカンです。」
恐ろしい……女のカン。
私も女ですし、母の娘なので、母と同じくらい精度の高い女のカンを働かせることができるかもです。
「私の娘ですからね。マリンも私と同じくらいカンが働くかもですね。」
「そうだったら嬉しいです。」
と私は、若干顔を引きつらせながら笑顔で答えた。
また思っている言われた。
それを聞いた父たちは、更に微妙な顔をされてました。
「私は許可していたし、王妃も許可してくれたし、他の者は、どうだ。」
「王妃殿下が許可されたので、言うことはありません。私も許可します。」
「「「「「私も(です)」」」」」
兄、弟、宰相、騎士団長、魔法師団長も許可してくれました。
叔父の事があったから母の事を思って皆、反対していたのかな。
そう思っているとアリスが発言許可を求めました。
「あの、国王陛下。発言してもよろしいでしょうか。」
「アリス嬢。構わぬぞ。」
「私もマリン第一王女殿下と一緒に冒険者になりないです。
私の上に兄が二人いますし、私が男爵家を継ぐこと可能性は低いですし、マリン第一王女殿下には、男爵令嬢の私なんかと仲良くしていただき、いろいろお話を聞くことがありまして、話を聞いているうちに私も冒険者を目指したい思うようになり、許可が貰えないから無理かもと聞いてましたが、許可いただけたので、一緒に冒険者になるお許しをマリン第一王女殿下にいただきたいと思っております。」
アリスはそんなことを考えていたのですね。私も嬉しいですわ。
魔法適正のある者は、王族、高位貴族ほど魔力量が多い方が多いのですが、私は全属性持ちでありますが、高位貴族でも魔力量は多いが一つだけの者やその逆の方や魔力量もそこまでなく、一つの属性だけという方もおりますし、魔導師団長でも七属性ですが魔力量はアリスより少ないでのです。男爵令嬢であるのにアリスは王族である私に引けを取らないくらい魔力量があり、風、水、雷、聖、無の五つの属性持ちがあり、聖属性は私を遥かに越えております。
ローズナイト王国ではないですが、他国には聖女という聖魔法にたけた方が着く役職があるそうです。
他国の聖女がどのくらいなのかはわかりませんが、アリスはそれに匹敵するくらいなのではと思ってます。
そしてロイナール男爵夫妻は驚いておりませんし、アリスは男爵家でそういう話をされていたのでしょうかね。
「アリス。私は嬉しいですわ。一緒に冒険者として頑張りましょう。」
「はい。マリン第一王女殿下。」
「アリス。ダメですわ。これからはマリンと呼んでくたさい。敬語も必要ありません。」
「しかし、それはちょっと不敬罪に……せめてマリン様ではダメでしょうか……敬語なしも……」
「ダメです。同じ冒険者となるのです。私が王女でアリスが男爵令嬢だろうと関係ありません。敬語なしで、呼ぶ時はマリンです。」
「……マ……マリン。これからよろしくね。」
「はい。アリス。こちらこそよろしく。」
そんなやり取りをしていると父が呆れたように言ってきました。
「アリス嬢。頑固な娘ですまないね。公の場で第一王女と男爵令嬢として接する時には今まで通りで、お願いしたいが、冒険者として活動する時は、マリンの言うとおりにしてやってくれるかい。」
「はい。国王陛下。」
私は、公の場でも構いませんが、それだとアリスやロイナール男爵家に迷惑がかかりますからね。仕方ないですね。
「アリス嬢の話を聞いてもロイナール男爵は、驚いていなかったが、話を聞いていたのか。」
「はい。アリスからマリン第一王女殿下と仲良くさせてもらっていて、話を聞いているうちに冒険者になりたいと思うようになったことは聞いております。
危険でありますし、心配や不安もありますが、アリスがやりたいと思うのであればやらせてやろうと妻と話、許可いたしました。」
「そうか。わかった。アリス嬢、無茶しかねない娘だが、マリンの事頼んだぞ。」
「はい。国王陛下。」
「国王陛下、私は無茶はしませんわよ。王妃殿下をはじめ、家族や友人、知人を悲しませたくはないですからね。」
「王族籍を抜いて冒険者になると言い出す者が無茶しないわけないからな。
それにそなたら二人なら大丈夫だろうが、登録試験に合格せねば冒険者にはなれぬのだ。
冒険者に既になった気でいるのではないだろうな。」
「そんなことは、わかっております。私は幼少より剣技を学び、隣国で魔法を学びましたし、アリスも学園の成績が報告されているので、国王陛下も知っていらっしゃるでしょうが、私に引けを取らない魔力量に風、水、雷、聖、無の五属性持ちで聖属性は私を遥かに越えていますから油断や慢心はしませんが無事に冒険者になってみせますわ。」
「わかっているならよいのだ。話は以上だ。皆、ご苦労だった。」
そうして、話が終わり、国王陛下、王太子殿下、宰相、騎士団長、魔導師団長以外は退室した。
ちなみに魔法適性ですが父は火、土、闇、無の四属性。母は風、水、雷、聖の四属性。兄は火、風、闇、無の四属性。弟は火、水、土、無の四属性です。
退室後、ロイナール男爵夫妻と話を終えたアリスはわたしのところにやってきたので、このまま一緒に武器防具屋で装備を揃えて、冒険者登録しに行くことにしました。
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