婚約破棄された王女は最強
紅 蓮也
第1話 留学から帰ったら婚約破棄されました。
私はマリン・ローズナイトです。ローズナイト王国の第一王女です。
隣国での三年間の留学を終え、父である国王陛下の生誕を祝うパーティに参加しているのですが……
「マリン、お前とは婚約破棄する。」
仲のいい令嬢たちと話しているといきなりそんなことを言われました。
振り向くとそこには婚約する際に顔見せで一度だけ会ったことがあるマルベール公爵令息のノイン様がいました。
「お久しぶりですね。ノイン様。いきなり来て、婚約破棄を宣言されるなんて、如何なものかと思いますが婚約破棄の理由を教えてもらえませんこと」
今日は、父である国王陛下の生誕を祝うパーティですので、他国を含めたくさんの王候貴族の方たちが招かれております。
そのような場でいきなり婚約破棄宣言ですか、ノイン様の常識を疑いますわね。
まあ、ノイン様に好意はありませんし、婚約破棄は別に構いませんわよ。
「婚約破棄の理由は、嫉妬からお前がここにいるロイナール男爵令嬢のアリス嬢を虐めたからだ。」
そう言われ、ノイン様を含む複数の貴族家の令息に護られるよういる令嬢に目を向けました。
王女と男爵令嬢と身分の差はありましたが私が留学する前から仲良くしていた方ですね。
なぜ、親友といってもいいくらい仲のいいアリスを私が虐めるのでしょうか?それに嫉妬ってなんですの?
「何故に私がアリス嬢を虐めるのですか?いつのことでしょうか?」
「学園で一年前からだ。」
一年前って、私は隣国の学院に留学していましたので、ローズナイト王国の学園には通ってないのですが……
「私は、学園には通ってませんよ。どうやっていない学園で虐めることができるのですか?」
「嘘をつくな。王族や貴族は必ず王立学園に通う。お前が通ってないわけないだろう。」
確かに王族や貴族は王立学園に通うのが当たり前ですが、私は剣も魔法も使える冒険者になりたかったので、小さい頃より剣技を習っており、そしてローズナイト王国より魔法教育が優れている魔法大国である隣国の王立魔法学院で学びたいと思ったので留学したので学園には通わなかったのです。
ローズナイト王国の魔法教育がダメというわけではありませんよ。
世界で一、二を争う大国であるローズナイト王国は魔法教育上位国ですからね。
でもせっかく習うなら最も優れた学院で学んだ方がいいと思ったから留学したのです。
「私が学園に通ってないのは事実です。私は魔法を学ぶために隣国のナイトメア王国に三年間留学していましたからね。私が虐めたと言われてますが、私が虐めたという証拠や証言はあるのですか?
例えば、アリス嬢が私に虐めたと言ったとか物的証拠があるとか」
「アリスはお前と違って優しいからな。誰に虐められたとかは言っていない。だが俺の友人たちがお前に違いないと言っていたし、虐めている現場を見たと言っている。」
「そうだ。さっさと認めて、アリス嬢に謝れ。」
「そうだ。そうだ。この悪役王女が」
「おお、悪役王女。ぴったりの呼び名だな。」
私が虐めていた言っているノイン様の友人とはアリスを守るようにしていらっしゃる方たちですかね。
近衛騎士団長の令息、魔法師団長の令息、従兄弟で現宰相の令息、あとはノインの取り巻きの侯爵家の令息に伯爵家の令息ですか。
皆さん、冤罪がバレたらどうなんでしょうかね。
私には関係ないですが……
それに国王陛下の生誕を祝うパーティなので、国王陛下をはじめローズナイト王国の王族や貴族、他国の王候貴族の方がいらっしゃる公の場で婚約者とはいえ王女を公爵令息がお前呼びするとは位如何なものかと思いますけどね。
まあ、一度会っただけですので、性格を全て把握していませんでしたが、今日のやり取りで常識もないのがわかりましたし、婚約破棄してくれるようですし、名前で呼ばれたくもないので、イラッとはしますがお前でも構いませんけどね。
ナイト気取りの婚約者含む皆さん五月蝿いですね。
アリスの顔を見てみなさいよ。悲しそうなお顔をされてますわ。
きっとアリスの話も聞かずに勝手に自分たちで決めて、現在に至るのでしょうね。
私はアリスに大丈夫だと意味を込めて笑いかけました。すると……
「何笑っているんだ。さっさと謝れ」
さすがにそろそろどうにかしないと招待した方たち申し訳ないですね。
そう思っていると国王陛下たちがこちらに向かってくるのが見えました。
「何を騒いでいる。招待した方たち迷惑だろう。」
ですよね。私もそう思います。
「それで婚約破棄とか、マリンが虐めたとか言っていたようだが……騒ぎを起こしローズナイト王国は恥をさらしてしまったが更に恥をさらすことになるが解決せねばいかんだろうからな。私たちも介入する関係者だしな。詳しく話せ。」
国王陛下も宰相も近衛騎士団長様も魔法師団長様もあと王太子である兄もかなりお怒りのご様子ですね。
近くで様子を見ていたノイン様と取り巻きの侯爵家令息と伯爵家令息のご両親は顔を真っ青にされてますけどね。
王妃である母と第二王子の弟はこちらには来ていませんが見た感じお怒りのようですね。
そして国王陛下に婚約者であるノイン様がこれまでの事を説明しました。
「なるほど。マルベール公爵令息はこう言っているが、ロイナール男爵令嬢、マリンに虐められたというのは本当か?」
「いいえ。私はマリン殿下に虐められてはおりません。留学前に仲良くしていただいておりましたし、留学されてからも手紙のやり取りをしたりとよくしてもらっております。ノイン様たちは私がマリン殿下は学園にいないのですからマリン殿下に虐められてはいないと説明しましたのに話も聞いてくれず勝手に自分たちでマリン殿下に虐められたということにされてしまいました。ノイン様たちは上位貴族で私は男爵令嬢なので強く言うこともできず、こんなことになってしまい国王陛下、マリン殿下申し訳ございません。」
「そうか。手紙で陰湿な虐めをしていたのか。」
「陛下、発言よろしいでしょうか。」
「構わぬ」
アリスが悪いわけではないのに謝ってくれました。いいのですよ。騒ぎとなってしまいローズナイト王国としては汚点ですが婚約破棄してもらえましたし、結果的によかったですわ。
それにしてもアリスの話を聞いて従兄弟のラルフが見当違いな発言をしましたね。何を聞いていたのでしょうか。耳が悪いのでしょうかね。治癒魔法で治療された方がいいですわよ。
「何を言っているんだラルフ。今の話を聞いてなぜそんな発想が出てくる。しかも陛下の許可もなく発言するなど常識がないな。私は子育ては失敗したな。」
宰相である叔父はラルフを叱り、最後は悲しい顔をされてましたね。
「ロイナール男爵令嬢の話を聞いてマリンが虐めてないこともわかった。マルベール公爵令息、婚約破棄は認めてやるぞ。」
「ちょっと待ってください。国王陛下。アリス嬢はこいつが怖くて本当の事が言えないだけです。こいつがアリス嬢に嫉妬していたのは間違いないことです。」
おいおい。父である国王陛下の前で娘であり第一王女である私をこいつ呼ばわりですか……
「私の前でマリンをこいつ呼ばわりとはいい度胸だな。それになぜマリンがロイナール男爵令嬢に嫉妬している言いきれるのだ。」
娘を侮辱にされ国王陛下かなりご立腹ですね。陛下もノイン様たちが常識がないのがわかったようで許可なき発言でしたが小さな罪はスルーですね。
「それは次期国王である私がアリス嬢と仲良くしているので、王妃の座が奪われると思ったからです。」
「何……マルベール公爵令息。お前が次期国王?何を言っているのだ。王位継承権は残したままだがマリンはマルベール公爵家に嫁ぐのだぞ。次期国王はマリンの兄である王太子だ。もし王太子に万が一があった場合、マリンが女王になるがお前は王配だ。国王ではない。それとも何か謀反を起こし王族を殺しローズナイト王国を乗っ取り国王になるつもりなのか。」
本当に何言っているんですかね。ただの婚約破棄騒動ではなくなっちゃいましたね。
王太子がいるのに自分が次期だなんて、陛下のおっしゃるとおり謀反起こすと言っているのですがご自身の発言の意味わかっているのでしょうかね。
「騎士団長。こやつらを牢へ連れていけ。」
「かしこまりました。」
騎士団長の指示でノイン様たちは連れていかれました。ついでに真っ青な顔から真っ白顔に変わり倒れてしまったマルベール公爵夫妻と取り巻きの令息の両親である侯爵夫妻と伯爵夫妻も一緒に
国王陛下は騒ぎが起きた事を招待した方たちに頭を下げ詫びられました。勿論、私やアリスも一緒に謝罪しました。
普通は、一国の王がしかも大国の王が頭を下げて詫びることはない。
おかしな事を考える者もいるが、父は国内外での評価は非常に高い。
父は変わっているのだろうが、こういう事が出来てしまう者が賢王と呼ばれるようになるのだろう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます