第2話

「マユケン」♯二つの雲2


 麻由子はケーキ屋で働いている。

 昔からケーキ屋かパン屋で働きたいと思っていた。でも今は楽しくないー。


 バカ男と別れて子供を二人育てている。自分のことなど後回しで子供の面倒を見るので精一杯である。


 こんなはずじゃなかったのにー。


 そんな言葉を頭の中で繰り返している。でも、気付く…そもそも私はどうなりたかったのかな…昔から周りに流されて、八方美人で来ていたように思える。

 本当の自分ってどんなだったか忘れてしまったー。

 何かの言葉を正解にして、それ以外を不正解として行かないと身も心も限界になってしまう。常に疲れてるから、疲れるという状態すらも麻痺している。


 生クリームの臭いで吐き気もしてくるー。


 ケーキなんか見たくも無いー。


 子供は大切だけと帰るのが億劫ー。


 職場からの帰り道、ディスクユニオンの前に停まってるバイクを見た。


 昔に乗りたかったバイクだったー。

 友だち達はビップカーやスポーツカー、女子はギャル、男子は族かチーマー風しか居なかった。

 そんな中で私はカフェレーサーのSR400に乗りたかったー。


つづく

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