第25話 北条さんとデート!?
7月半ばのある休日。いつも通りの時間に起きて朝食を食べるために食堂へと向かう。
「おはようございます」
「おう、おはよう」
「あら修くん、おはよう」
いつも通り克人さんと翔子さんに挨拶するといつも通り挨拶が帰ってくる。
「おはよう。北条さん」
「ええ、おはよう、如月くん」
そして北条さんもいつも通り返してくれるようになって嬉しかった。克人さん達も俺たちのやりとりを微笑ましく見ていた。
「さっ、食べようか」
克人さんの合図で朝食に入る。
「あ、朝食の途中だけどいいかな?食べながらでいいよ」
いきなり克人さんが言った。
どうしたんだろ?珍しいな、と思いながら朝食を食べる。
「実はうちの傘下企業がやってる遊園地から株主特待としてペアチケットをもらったんだ。二人とも遊んでなかっただろ。だから明日にでも行って来たら?」
え、遊園地?北条グループそんなこともでやってるの!?て言うか克人さん、今二人で行って来いって言ってなかったか?二人?俺と北条さんってこと?マジっ!
隣の陽葵さんはと言うと、俺と行くのが恥ずかしいのか黙々と朝ごはんを食べていた。
「まぁ、二人でいつ行くか話してね。じゃぁチケット渡しておくよ」
そう言ってペアチケットを渡された。
朝食後、俺と北条さんはいつも通り図書館で本を選んでから浮御堂に向かった。
あ、もちろん北条さんが選んだ本も俺が持ってるぞ。
「あの、どうします?遊園地?」
「……何で敬語なの?」
「いやー……何か嫌だったら申し訳ないなと……」
「別に遊園地に行くのは嫌ではないわよ」
「あ……やっぱりペアが嫌ですよね……。チケット渡すんで、千秋さんとでも遊んできt」
「別にいいわよ。二人で行っても」
チケットを渡そうとポケットを漁ろうとするが、その声で動きが止まってしまった。
「え……?」
「だから……良いわよ。一緒に行っても……」
「でも……「でも多分二人っきりではないと思うわよ」え?」
「車を運転する運転手もいるし、多分園内にも護衛が配置されているわよ」
あ、そりゃーそうですよね。四大財閥の一つ、北条家の御令嬢をただの男と二人っきりにする筈ないですよね。
「あ、じゃあ明日でいい?」
「ええ、良いわよ」
そう微笑みながら言ってくれた。
それからはいつも通り本を読んで過ごした。
そして夕飯を食べ終えた後、俺は自室で遊んでいたら
“コンコン”
ノックされた。
「修くん入っても良いかい?」
何とノックした主は克人さんだった。克人さんが直接この部屋に来るのは初めてだ。何の用だろう?
「はーい」
返事をして自分から扉を開け、克人さんを中に招き入れ、椅子に座らせる。
「どうぞ」
「すまないね。夜遅くに」
「いえいえ、でもどうかしましたか?」
「うん。少し聞いておきたくてね。遊園地にはいつ行くつもりかな?」
「あ、明日にすることにしました」
「おお、そうか」
「はい」
いつ遊園地に行くか聞きに来たのか。確かに梓さんには言ったけど、克人さんにまだ言ってなかったな。
「ありがとな修くん」
「はい?」
いきなり感謝の言葉をかけられて困惑してしまう。
「修くんのおかげで陽葵は前よりも明るくなった。さらに友達もできたと言うじゃないか。それに陽葵が休日に遊びに出かけるなんて本当に久しぶりだからな。これも修くんのおかげだ」
「いやいや、僕は何にもしてませんよ。そばで見守ってただけです」
「それが陽葵を変えたのだが……まぁ良い。ところで明日なんだが……」
「はい」
「電車で行ってくれないか?」
「電車でですか?」
「ああ、そうだ。陽葵はな実はまだ電車に乗ったことがないんだ」
え、マジ?
「せっかくの機会だから、一回普通の女の子として遊びに行って欲しんだ。だから明日は護衛もつけないつもりだ」
「え、護衛もですか?それだと危なくないですか」
「もしもの時は修くんが守ってくれるのだろ?まさか守ってあげないのか?」
「いや、それはもちろん守りますが……俺では力になれませんよ」
少し趣味で鍛えているとはいえ、大人相手に抵抗できるとは思えない。
「まぁ大丈夫だ。実を言うとそこまで誘拐とか起きないしな」
「え、そうなんですか」
「うん。ここ数年はあまり公式の場に出ていないから、顔とかもわからないし、遊園地は北条グループの傘下だから、安全だよ。万が一に備えていつもよりは警備を厳重にしておくから」
「あ、はい。わかりました」
「うん。じゃあ明日頼んだよ」
克人さんはそう言って出て行った。
うん?待てよ?てことは明日は俺と北条さんの二人きりってこと?マジ!?これはデートじゃない?
こうして俺は北条さんは遊園地に遊びに(デート)行くことになった。
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